今週は中国人留学生の話を取り上げるつもりで準備していた。柳条湖事件が起きたのは81年前の9月18日。まさかこの日の前に尖閣を「国有化」することはないだろう。こう考えた筆者はやはり甘かった。「国有化」決定は9月10日。案の定、日中関係は再び揺れ始めた。
9月12日、日本の某公共放送局は、「政府は・・・冷静な対応を求めていく方針ですが、中国側は、対抗措置を取る構えを見せるなど、悪化した日中関係を打開する見通しは立っておらず、引き続き対応に苦慮しそうです」と報じている。
申し訳ないが、筆者の見立てはちょっと違う。「対応に苦慮」しているのは、中国側も同じだからだ。
というわけで、今回は再び尖閣最新情勢をめぐる筆者の独断と偏見を御披露することとし、日本や英国で中国人留学生が直面している問題については来週以降取り上げたい。
「国有化」とは呼ばない
まず不思議なことに、日本政府は今回の措置を「国有化」と呼ばない。
9月10日の「関係閣僚申し合わせ」では「尖閣諸島の取得・保有」と書かれている。理由は不明だが、「国有化」を中国語で読むと、いかにも「日本国が現状を変更した」かのような響きがあるからだろうか。
この「申し合わせ」の当事者は内閣官房長官、総務大臣(代理)、外務大臣、財務大臣、国土交通大臣の5閣僚だが、最終的に「尖閣3島の取得・保有」の主管官庁は海上保安庁とされた。可哀そうに、結局「海保」がババを引かされたということか。
5億円程度の島に20億円以上も支払う根拠は何か。「申し合わせ」では、「他に代替性のない国境離島を取得・保有するという今般の事案の特殊性」に鑑みたと書かれているが、これではあまりに弱い。地権者が20億円必要だった、と説明する方がよほど説得力がある。
このように、日本政府による今回の「国有化」は決して簡単な決断ではなかったようだ。しかし、中国政府の発表ぶりも、よく読んでみると混乱していて、結構面白い。続いては中国側発表内容などに茶々を入れることにしよう。