KSFを探す重要性の認識
前述のタブロー社に入社した早々、KSFを探す重要性に衝撃を受けた出来事がありました。
中小企業担当チームのゴールが、なんと四半期の売上ではなく新規顧客獲得数(New Logo)だったのです。
もちろん、最終的な目標は売上ですが、当時のデータ分析で、中小企業営業においては初期段階で売上よりも顧客獲得を優先し、まずは1本でも多くのライセンス導入を実現することが、結果として生涯売上(LTV)の最大化に繋がると判明していたのです(後に、2本以上の販売が重要であるというデータも得られました)。
外資系企業では、営業の役割が効率重視で細分化されているケースが多く見られます。初期導入専門の営業であれば、成約後には顧客を別の担当者に引き継がなければなりません。
この場合、売上目標を達成するために、最初の販売機会を最大限に活かそうと、トライアルの無償提供を続け、案件を可能な限り大きくしてから顧客を引き渡す、という行動が往々にして起こり得ます。
しかし、Land&Expand戦略(まず小規模から導入を始め、アップセルやクロスセルで収益を拡大する戦略)を採用していたタブロー社では、1件でも多くの新規顧客に導入(Land)してもらうことで、顧客自身が製品価値を実感し、すぐに拡張(Expand)してくれるという確信がありました。
短期的な売上目標にとらわれず、あえて新規顧客数(New Logo)をゴールに設定することで、1件の成約を重視し、長期的な視点で売上最大化を目指していたのです。その後、中小企業担当チームにおいても、新規顧客数は最終目標(KGI)ではなく重要なKSFという位置付けに変化しましたが、私が退社するまでその重要性は揺るぎませんでした。
<連載ラインアップ>
■第1回 BtoBのサブスク製品は、なぜ2本以上売った方が解約率が低いのか?(本稿)
■第2回 大型案件の獲得に欠かせない「BANT情報」と2つの「例外レビューポイント」とは?(12月23日公開)
■第3回 狙った顧客を「あるべき姿」へ導いて売上増を実現、顧客攻略のための「5つの営業アクション」とは?(1月7日公開)
■第4回 安定した売上目標達成に向けて、営業リーダーが押さえておくべき「予測」のポイントとは?(1月23日公開)
■第5回 「数字から逃げない」強いチームの営業リーダーが、いつも大切にしている「3つのこと」とは?(1月30日公開)
■第6回 「マネージャーのマネージャー」は、なぜ強面役を演じなければいけないのか?(2月6日公開)
※公開予定日は変更になる可能性がございます。この機会にフォロー機能をご利用ください。
<著者フォロー機能のご案内>
●無料会員に登録すれば、本記事の下部にある著者プロフィール欄から著者をフォローできます。
●フォローした著者の記事は、マイページから簡単に確認できるようになります。
●会員登録(無料)はこちらから