東京証券取引所は2023年10月「カーボン・クレジット市場」を開設した
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 日本で二酸化炭素(CO2)排出量取引の環境整備が進み、取引参加を表明する企業が増えている。一方で、地方自治体と協力しCO2を削減した価値(J-クレジット)を都市ガスと組み合わせて商品化するガス会社が増えてきたという。排出量取引は都市ガス業界にとってどのようなメリットがあるのだろうか。

「GX(グリーントランスフォーメーション)リーグ」や「カーボン・クレジット市場」など、日本での取引制度の枠組みも踏まえて、ガスエネルギー新聞常務取締役編集長の大坪信剛氏に聞いた。

日本のカーボン・クレジット市場が緩やかに始動

──2026年度からの二酸化炭素(CO2)排出量取引の本格導入に向けて、日本の市場環境の整備が進んでいますね。

【ガスエネルギー新聞】

都市ガス会社の今を報道する業界唯一の新聞。天然ガス、LNG、燃料電池などガス業界の技術や製品情報、企業ニュースの他、周辺業界や行政の動きなども幅広く報道する。2023年7月から新メディア「ガスエネWeb」を公開中。

大坪信剛氏(以下・敬称略) 排出量取引はご存じの通り、脱炭素への取り組みの一つで、あらかじめ企業ごとに排出枠を決めておき、排出量がそれを上回ってしまった企業は、排出枠が余っている企業から買い取る仕組みです。

 一般に脱炭素の取り組みは、企業にとってコスト負担を強いるものですが、このような取引市場を生み出すことで企業に新たなビジネスチャンスを提供する狙いがあります。

 欧州諸国は早くからCO2削減に向けて意欲的な目標を掲げてきましたが、期待通りには進んでいません。このため、企業に対して排出量取引への参加を義務づけたり、削減目標に達しなかった企業にペナルティを与えたりするなど、強化策をとっています。一方、民間では既にこれをビジネスと捉え事業創出が進んでいます。

 欧州の排出量取引が先行している背景にはそうした事情があるのですが、この動きは世界的な潮流となっており、日本政府もこの流れを踏まえて排出量取引に積極的に取り組んでいます。ただ、企業に対して急激に強い規制や罰則を課してしまうと、産業活動が停滞する恐れもあるため、段階的な導入を進めているところです。

「GX(グリーントランスフォーメーション)リーグ」や「カーボン・クレジット市場」の創設なども、そうした取り組みの一環です。

──GXリーグとカーボン・クレジット市場は、それぞれどのような仕組みなのでしょうか。