「衛星コンステレーション」の仕組みとは?

スペースX社のスターリンク衛星が描く軌道のイメージ図。高度と傾斜角の違う72の軌道へ、それぞれ22機ずつの衛星が投入されている。ⒸLamid58

 スターリンク、ブルーバード、カイパーなどの衛星システムは、地球を周回する低軌道に多数の通信衛星を配置することから「衛星コンステレーション」と呼ばれている。コンステレーションとは「星座」という意味だ。

 衛星放送などで使用される「静止衛星」は、赤道上の高度3万6000kmの静止軌道に投入されている。ここに配置された衛星は地球の自転と同期し、24時間で地球を1周するため、地上からは空の一点にとどまって見える。

 つまり、日本列島の南方の静止軌道に通信衛星を1機配置すれば、それで日本全土をほぼカバーできる。ただし、静止軌道は高度が高く、地表からの距離が遠いため、通信のレイテンシー(遅延時間)が大きくなる。

 これに対して衛星コンステレーションは、静止衛星よりもはるかに低い高度に衛星を投入するため、地表の通信者と衛星との距離が近く、通信速度が格段に速くなる。スターリンク衛星(従来機)の高度は約550kmであり、静止衛星の約65分1の距離しかない。そこを往復する電波は、単純計算すれば65倍速くなる。

 ただし、低軌道に配置された衛星は地球を90分前後で周回する。そのため地表の通信者の頭上に特定の通信衛星がとどまる時間は短く、それ以外の間は通信ができない。これを解消するには複数の通信衛星を軌道上に配置し、通信者の上空に、常に衛星がある状態を作る必要がある。

 地球上の全てのエリアで、常に通信できる状態を生み出すために、通信衛星で地球全体を覆うように配置することになる。