楽天モバイルの今後を左右する「スペースモバイル計画」とは?

 楽天モバイルは2020年3月、「スペースモバイル計画」を発表している。このプロジェクトでは米国のASTスペースモバイル(本社テキサス州)の通信衛星を利用して、スターリンクと同様、衛星とスマホの直接通信を実現する。基地局が不足している楽天モバイルにおいては、今後の事業を左右するプロジェクトと言えるだろう。

 しかし、当初2024年末を予定していたサービス開始は、運用機「ブルーバード」(2024年9月打ち上げ予定)の開発遅延などにより、現在では2026年内を目指している。しかし、この機体もファルコン9での打ち上げが予定されているため、事故調査とその後の打ち上げスケジュールの混み具合によってはさらに遅れる可能性がある。

 国内サービスに関する情報はまだないが、ジェフ・ベゾス氏率いるアマゾンも同様な事業を展開しようとしている。同社は独自の通信衛星「プロジェクト・カイパー」の打ち上げを開始しており、スターリンクと同様、その機体を地球周回軌道上に配置することで、地球上のあらゆる場所に高速通信を提供しようとしている。

 同計画は他社に後れを取っているが、一定数の衛星が軌道上に配備されれば、日本国内でのセールスが一気に展開されるだろう。

 上記3社と違う戦法を取るのがNTTだ。同社は2024年6月、宇宙事業戦略ブランド「NTT C89」を発表した。その事業内容は多岐にわたるが、最も注目すべきは「HAPS」だろう。これは高度20kmの成層圏に無人の小型航空機を複数機飛ばし、長期間滞空させ、それを介して5Gまたは6Gの高速回線を提供するというシステムだ。

 HAPSとは“High Altitude Platform Station”の略語であり、「高高度プラットフォーム」を意味する。その開発はNTTとスカパーJSATによる合弁会社、スペース・コンパスが担当。NTTドコモが法人向けサービスを2026年に開始、その後個人向けに拡大する予定だ。

 また、ソフトバンクも同様に、独自のHAPSの開発に着手している。2020年7月に子会社、HAPSモバイルを設立した同社は、その2カ月後の9月、世界で初めてHAPSによるLTE通信試験を成功させた。現時点においては2027年の事業化を目指している。