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 EC市場の拡大によって物流の重要性が増す中、物流をコストと見なす企業は多い。一方で、物流を「利益を生む機能・部門」として企業戦略に取り込み、成長の足掛かりにしている企業が存在する。物流をプロフィットセンター化するには、どんな戦略が考えられるのか。本連載では、『顧客をつかむ戦略物流 なぜあの企業が選ばれ、利益を上げているのか?』(角井亮一著/日本実業出版社)から、内容の一部を抜粋、再編集。物流によって競合との差別化に成功している企業4社の戦略と取り組みを紹介する。

 第6回は、アパレル通販「ZOZOTOWN」を運営するZOZOの圧倒的な「品揃え」による差別化戦略を読み解く。

<連載ラインアップ>
第1回 業界1位の座を支えるドミナント戦略、セブン-イレブン独自の「高密度集中出店方式」とは?
第2回 セブン-イレブンはなぜ、全国展開や大都市圏への出店を急がなかったのか?
第3回 西海岸の地下倉庫で創業したアマゾンは、いかに全米物流ネットワークを築いたか?
第4回 コロナ禍で利用率が急増、アマゾンの「宅配部隊」が躍進した背景とは?
第5回 全品配送料無料の「ヨドバシエクストリーム」は、なぜ最短2時間半で配達できるのか?
■第6回 新着は毎日2600点超、年間6000万点を出荷するZOZOの物流拡張計画とは?(本稿)


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商品カテゴリーの商品を揃える「フルライン」

顧客をつかむ戦略物流』(日本実業出版社)

■ アパレルのフルラインを実現する「ZOZOTOWN」

 商品カテゴリーを絞り、そのカテゴリーであれば何でも揃うフルラインのわかりやすい例に、ファッションEC「ZOZOTOWN」を運営する、アパレルのカテゴリーキラー、ZOZOがあります。

 同社の商品取扱高は5443億円(推定出荷数量6000万個/年)。「ZOZOTOWN」の取扱ブランド数は8455ブランド、年間購入者数は約1181万人。一人の顧客が年平均6回購入しているというデータもあります。「ZOZOTOWN」に出店するショップ数は1532(うち買取・製造販売28)。毎日2600点以上の新着商品があり、常時90万点以上の商品が販売されており、ファッションに敏感な若者から圧倒的に利用されています(数値はいずれも2022年度)

 こうした「ZOZOTOWN」の強みに関心をもつ企業は少なくありません。2023年9月からは、「無印良品(MUJI)」を運営する良品計画との販売委託契約により、同社のアパレル(約500品目)、生活雑貨(約9000品目)を扱うことになりました。「ZOZOTOWN」での販売を通じて、若年層への認知度がやや弱いといわれている「無印良品(MUJI)」ブランドを、より多くの若者たちに接してもらうことを狙いとしています。

■ 競合を大きく引き離す「ZOZOTOWN」

「ZOZOTOWN」はどれだけ差別化を実現しているか。同社とよく似たEC展開をしているベイクルーズ(BAYCREW ’ S)と比較してみましょう。

 ベイクルーズグループは、輸入およびオリジナルの衣料品や雑貨を販売するセレクトショップで、「IENA」「JOURNAL STANDARD」「EDIFICE」などを主力ブランドとしています。

 アパレルの展開ブランドは19、月間セッション数(訪問者数)は920万というデータがあります。それに対し「ZOZOTOWN」の取り扱いブランド数は8455、月間の訪問者数も5920万と、大きな開きがあります。

 ベイクルーズの売上規模は545億円(2020年度)、単純比較はできませんが、ZOZOの商品取扱高(2022年度5443億円)の10分の1程度しかありません。ちなみに、このところEC(ネット注文、店頭受取も含む)に力を入れているユニクロのEC売上は、2021年度1309億円ですから、「ZOZOTOWN」の規模がいかに圧倒的であるかわかります。