GEヘルスケア・ジャパン取締役・執行役員・人事本部長の小田愛子氏と同社日野工場
(写真提供:GEヘルスケア・ジャパン)

 2023年1月、130年にわたり事業を共にしたGEグループから分社・独立した医療機器メーカー、GEヘルスケア。160カ国以上でビジネスを行う従業員5万人の大組織が、130歳のスタートアップとして新たな歴史を刻みだして1年がたった。独立初年度の売上は前年比8%増と好調だ。同社は分社独立後、どのような組織作りや組織能力の開発に取り組んできたのか。その内容と成果について、GEヘルスケア・ジャパン取締役・執行役員・人事本部長の小田愛子氏に聞いた。

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人材や企業文化を継承しながらイノベーションを加速

――GEヘルスケアが2023年1月にGEグループから分社独立し1年がたちました。分社・独立後、組織にどのような変化があったのでしょうか。

小田 愛子/GEヘルスケア・ジャパン取締役執行役員 人事本部長

P&Gジャパン、ファーストリテイリング、GEなどのグローバル企業で人事リーダーとして17年実績を積み、経営チームの強化、リーダー開発、人材開発、組織文化の醸成、人事業務改革に尽力。2018年にGEヘルスケア・ジャパン入社後は人事部門で全社横断の人事施策の設計に関わり、2022年12月より現職。

小田愛子氏(以下敬称略) 2023年1月に、GEヘルスケアは約130年事業を共に運営してきたグローバルコングロマリットから分社化し、「130歳のスタートアップ」として歩み始めました。

 分社独立後は、これまでの歴史を築いてきた人材や企業文化を生かしながら、新たな未来を切り開く組織をつくっていくために、試行錯誤を重ねてきたといえます。

 グループから独立したことで、ヘルスケア事業を超えた人材の配置転換はできなくなり、業績を補い合うグループ会社も手放すことになりました。一方で、変わらず継承したものには、ヘルスケアへの情熱や顧客からの信頼、年齢・国籍にかかわらず活躍できる企業文化、リーダーシップを発揮する文化、有能な人材などがあります。

 そして独立から1年を経て、新たに得たと感じているのは、経営判断の機敏性やイノベーションの加速などです。分社独立後、権限移譲が進み、イノベーションに必要な企業買収や提携のスピードが加速しました。また、製品の開発、薬事承認のスピードも早まったように感じています。株主に公開したイノベーションの数も40に上ります。独立初年度の業績(売上高)も前年比8%増で、日本円にして約2.9兆円を達成しています。

――そうした躍進の背景で「新しい経営戦略を実現する組織能力の開発」に取り組まれていたそうですが、具体的には、どのようなことでしょうか。

小田 分社後、数多くの変革を行ってきました。その大きな変革の第一歩は、分社化の1年前に新たな経営陣が登用されたことでした。

 また、同様の大きな変革としては、企業パーパス、そして、ヘルスケアビジネスの事業戦略、社員の行動指針の再定義を行ったことです。

 新しい企業パーパスは「ヘルスケアの無限の可能性を追求し、より良い社会を実現する」です。以前は「かけがえのない瞬間を より豊かに」と、「ヘルスケア」に言及していませんでしたが、新たなパーパスにより、「私たちは本当に新しいヘルスケアの未来を作っていくんだ」と社員一同、改めて認識できました。

 そして、この企業パーパスの実現に向け、どのような領域で価値を提供していくかといった事業戦略を再定義しました。さらに、その事業戦略の実現に向け、どのような行動が求められるのかを行動指針として掲げました。