部署は違っても「顧客像」は同一視する

田中 社内では各部署の人たちに「目線を合わせて顧客を見よう」と提案しています。ローソンは大きな会社ですので、営業本部や商品本部、マーケティング戦略本部ごとにそれぞれの計画があります。そのこと自体に問題はないのですが、部署それぞれが計画を立てているので、そこで見ているベースとなる顧客データもが違っていると、全社として本当の顧客ニーズを見逃してしまうリスクもあるのです。

 そこでCS推進室がデータ分析作業を統括し、顧客像を明確にした上でそれぞれの部署に情報を共有しています。各部署はそのデータを基に、販売計画を立てるようになりました。

 具体的には四半期ごとに顧客データを整理し、販売計画の策定前にCS推進室がアップデートした顧客像を提案する、というプロセスを採用しています。当然、それぞれの部署にはこれまでの経験があり、それに準じた顧客理解は正しいです。しかし、中長期的に見れば変化するお客さまをタイムリーにとらえた顧客データを基に営業や販促を考えた方が、サステナブルな成長を見込めます。

 特に、毎週のように新たな商品を販売するローソンにおいては、ヒット商品は担当者の「思い込み」では作れません。

 小売業において、真にデータドリブンな経営を実践するためには、まずは「顧客像」と「購入動機」の明確化が何より重要だと考えています。