購入動機「本能」「生活」「理屈」の割合は?
田中 主に取り組んでいる施策は、①9つの顧客分類の策定、②顧客の「購入動機」を明らかにすること、です。
①については、ID-POSに加えて、商品が持つ特性などさまざまなデータソースを融合し、年代や性別にとらわれない9つのペルソナを用意しました。具体的には「イベントや友人との集まりなどに参加するのが好き」「話題になりそうなことを見つけて、広めたい」など、お客さまの価値観も加味したペルソナになっています。
具体的な顧客像については公開できませんが、これら9つの顧客像に合わせた商品開発とマーケティング施策を打った結果、ターゲティング広告の商品購入率が12倍になった他、リアル店舗での売り上げにも好影響が出ています。
②に関しては、IDレシートデータと独自に調査したアンケートを組み合わせました。IDレシートデータとは、競合他社での購入を含めた顧客の購入履歴が分かるデータです。このデータ自体、価値があるものですが、問題は「購入動機が分からない」こと。
なぜ1人の消費者がおにぎりを2個購入したのか、なぜツナマヨネーズ味だったのか、なぜ15時に買ったのか、など事実はとらえられるのですがその背景にある具体的なモチベーションがわからないのです。
そこで、ローソンでは約2500人のお客さまに対して「なぜ当該商品を購入したか」を聞いたアンケート調査を実施しました。その結果とレシートのデータを突き合わせて、コンビニエンスストアにおけるお買い物の動機を調べてみました。
調査の結果、コンビニエンスストアでの購買モチベーションは「40.5%が本能、42.0%が生活、17.5%が理屈」であることが分かりました。本能とは「食べたい/飲みたい」、生活は「必要だから買う」、理屈とは「タイム/コスト・パフォーマンスがよい」というようなものです。
これら3つのモチベーションは他の小売業での買い物でも共通ですが、比重はそれぞれの業態によって違います。コンビニエンスストアでの購買動機を明らかにできたことで、今後は「マーケットイン」、つまり消費者の本当の欲求を重視した商品開発を実現できると期待しています。

──ID-POSやIDレシートは、店舗で直接得られるデータです。9つの顧客像と購入動機の明確化に際しては、他のタッチポイントで取得できるデータも突き合わせたとのことですが、営業本部や商品本部、マーケティング戦略本部など、それぞれの部署とはどのように協働しているのでしょうか。