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 ビジネスパーソンであれ、企業組織であれ、ビジネスでは「一回切り」「たまたま」「まぐれ」の成功は通用しない。顧客が欲するサービス・商品を「継続的に」「必然的に」「狙い通りに」提供し続けて、初めて「仕事」といえる。つまり、仕事とは「人の心を捉え続けること」であり、それを実現するために必要なのは、顧客の「真のニーズ」を的確に捉えるためのマインドセットと仕組みづくりだ。本連載は、『いつでも、どこでも、何度でも卓越した成果をあげる 再現性の塊』(田尻望著/かんき出版)から、内容の一部を抜粋・再編集。キーエンス出身の経営コンサルタントが体系化した「ニーズの捉え方」の考え方とノウハウの一端を紹介する。

 第1回は、「ニーズの裏のニーズ」とは何かについて解説する。

<連載ラインアップ>
■第1回 “仕事ができる人”が捉えている顧客の「ニーズの裏のニーズ」とは?(本稿)
第2回 法人顧客の「ニーズの裏のニーズ」を知るために押さえたい6つの価値とは?
第3回 人間関係が悪化し、5人の営業が辞めたことで失われた売上を考える意味とは?
第4回 「社内コミュニケーションをよくしたい」の裏に隠された重要なニーズとは?
第5回 「絶対に食いっぱぐれることのない」組織になる方法とは?
第6回  “卓越した成果”を再現し続ける組織は、なぜ「ひし型」になるのか?

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「なぜそれが欲しいのか?」を突き詰めれば「真のニーズ」が見えてくる

 実は、ニーズには、「顕在ニーズ」「潜在ニーズ」に加え、もう一つ、種類があります。それは、相手のさらに深い部分に存在するニーズ、つまり、顕在ニーズと潜在ニーズの裏側にある「真のニーズ」です。

 潜在ニーズよりも、さらに深い部分にある「真のニーズ」とは、どういうものなのか、具体的な例を挙げて説明しましょう。

 あなたが美容皮膚科のカウンセラーだとしましょう。ある女性が「ヒアルロン酸の注射を受けたい」と相談に来た場面を想像してください。

 その女性は、「目の下のクマやしわを何とかしたい」と言っています。

 ニーズを探るために、あなたはどんな質問をしますか?

「これまで何か治療を受けたことはありますか?」というような質問を思いついた方がいるかもしれません。

 ただ、それは、顕在ニーズを確認するための質問なのです。

 ここで、本当に聞かなければならないのは、「なぜ、目の下のクマやしわが気になるのですか?」「なぜ、それが重要なのですか?」という質問です。

 その質問に対して、女性が次のように答えたとします。「最近、同窓会があって、友人よりも老けて見えた気がするんです」

「目の下のクマやしわを何とかしたい」という顕在ニーズと、この回答との関係性を探るためには、次のような質問が必要です。

「そうなんですね。なぜ、同窓会での自分の見た目が気になるのですか?」(センシティブな話題ですからプロとして寄り添った姿勢でお伺いするべきです)

 それに対して女性が次のように答えたとします。「高校時代、皆から美人と言われていたので、その頃の自分を取り戻したいんです」

 これが彼女の本当の「目的」=「真のニーズ」だったのです。