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“卓越した成果”を再現し続ける組織の組織図はきれいなひし型になる

 ビジネスパーソンであれ、企業組織であれ、ビジネスでは「一回切り」「たまたま」「まぐれ」の成功は通用しない。顧客が欲するサービス・商品を「継続的に」「必然的に」「狙い通りに」提供し続けて、初めて「仕事」と言える。つまり、仕事とは「人の心を捉え続けること」であり、それを実現するために必要なのは、顧客の「真のニーズ」=「ニーズの裏のニーズ」を的確に捉えるためのマインドセットと仕組みづくりだ。本連載は、『いつでも、どこでも、何度でも卓越した成果をあげる 再現性の塊』(田尻望著/かんき出版発行)から、内容の一部を抜粋・再編集。キーエンス出身の経営コンサルタントが余すことなく披露する「ニーズの捉え方」の考え方とノウハウの一端を紹介する。

 第6回は、一過性ではない成果を上げ続けるために、企業の組織全体に浸透させるべき思想・考え方について解説する。

<連載ラインアップ>
第1回 “仕事ができる人”が捉えている顧客の「ニーズの裏のニーズ」とは?
第2回 法人顧客の「ニーズの裏のニーズ」を知るために押さえたい6つの価値とは?
第3回 人間関係が悪化し、5人の営業が辞めたことで失われた売上を考える意味とは?
第4回 「社内コミュニケーションをよくしたい」の裏に隠された重要なニーズとは?
第5回 「絶対に食いっぱぐれることのない」組織になる方法とは?
■第6回 “卓越した成果”を再現し続ける組織は、なぜ「ひし型」になるのか?(本稿)

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「市場原理」を運営の起点にせよ

 すべての組織を「ニーズの裏のニーズ」、つまり「市場の声」を起点にしていくことによって、常に顧客の心に刺さる商品提供が可能になります。

 濃度の差はあれども、重要なのは「どの部署もニーズの裏のニーズを捉えようとする方向性を持つ」ということがとても大事なのです。「いかなる問題も、それが発生したのと同じ次元で解決することはできない」というアインシュタインの言葉があります。

 これは問題が発生したのと同じステージで考えたとしても、問題は解決しないか、一時的に解決したとしても、同じような問題がまた起こるということを示しています。

 その最たる例が、営業と開発の争いなのです。

 つまり、「この商品が売れないのは、売れない商品をつくった開発が悪い」「商品が売れないのは営業の営業力が低いせいだ」という問題です。

 この問題は「営業」対「開発」という同じ次元では解決することはできません。問題解決のためには、営業や開発は何のためにあるのか? という問いについて、抽象度を上げて考えてみる必要があるのです。

 この問いの答えをお伝えしてしまうと、「市場への価値提供のため」という共通の目的に行き着きます。

「営業が営業をする」「開発が開発をする」という同じステージの概念でそれぞれの部署が交わるのでなく、もう一段上の「市場の役に立つ・市場のニーズを叶える」というステージに昇華しなければならないのです。

 ニーズを叶えるために営業があり、ニーズを叶えるために開発があるのです。

 これは、個々の部署だけではなく組織全体に同じことが言えます。