サッポロビール代表取締役社長の野瀬裕之氏(撮影:内海裕之)

 2023年10月の酒税改正で主戦場となるビールの酒税が引き下げられたこともあり、ビールメーカーの攻防が激しさを増している。その中でサッポロビールは今年、どのような形でビール商戦に臨んでいくのか。「黒ラベル」と「ヱビス」の2枚看板を持つ同社の野瀬裕之社長に、サッポロの強みや変革の行方について聞いた。

ヱビスを「東京ブランドのビール」として再定義

――今年(2024年)4月3日に、サッポロビールのお膝元である恵比寿(東京・渋谷区)でビールのブルワリー(醸造所)を開業する予定ですね。看板商品の1つである「ヱビス」の販売は昨年が前年比で横ばいと、やや足踏み状態でしたが、ブルワリーの開設はそこを打開していく起爆剤になりそうですか。

野瀬 裕之/サッポロビール代表取締役社長

1963年2 月3 日生まれ、福岡県出身。1986年3月九州大学経済学部経営学科卒業後、同年4月サッポロビール入社。2000年 商品開発部グループリーダー、2007年 新価値開発室長、2008年サッポロブランド戦略部 企画グループリーダー、2011年 焼酎戦略部長、2012年ヱビスブランド戦略部長、2013年ブランド戦略部長を経て、2015年3月サッポロホールディングス取締役戦略企画部長に就任。2019年3月サッポロビール取締役常務執行役員 営業本部長、2020年3月サッポロビール取締役常務執行役員 マーケティング本部長 国内営業部門管掌を歴任し、2021年3月サッポロホールディングス常務グループ執行役員、サッポロビール代表取締役社長に就任し現在に至る。
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座右の銘:SPEED
愛読書:『坂の上の雲』(司馬遼太郎著)

野瀬裕之氏(以下敬称略) 酒税が下がったビールへのシフトが進んだことで、いまスタンダードビールの領域にフォローの風が吹いています。昨今の物価高による節約志向などの中で、ヱビスのようなプレミアムビールまで手を伸ばさなくてもいいという意識が消費者の間に働いている気がします。

 ヱビスは30年ほど前、“ちょっと贅沢なビール”というコミュニケーションをとり、実際にそういうポジショニングをうまく掴んできたわけですが、昔ならわかりやすかったプレミアムビールの意味合いが、現在は若干希薄化しているように思います。そのため、新しいチャレンジをして再定義していかなければならない時期に来ていると言えるでしょう。

 ヱビスをプレミアムビールとして再定義するためには拠点が必要です。ヱビスは言ってみれば“東京ブランドのビール”ですし、商品パッケージにはあえて「BORN IN TOKYO」と刻印しています。東京の街の中でもお洒落で洗練され、活気があってアクティブで……という、恵比寿の街のイメージを象徴するようなブランドに変えていきたいと考えています。

「ヱビスビール」
今年4月にオープン予定の「YEBISU BREWERY TOKYO」

 ブルワリーオープンの前に、2月製造分から8年ぶりとなるリニューアルを行い、順次切り替えていきますので、新しいヱビスの味わいをお試しいただきたいと思います。併せて4月以降、ブルワリーの「YEBISU BREWERY TOKYO」へもお越しいただき、ここでしか飲めないヱビスや、ヱビスの新たな世界観を感じていただけたら嬉しいですね。いわば、今年は新しいヱビス元年という位置づけです。

資料:サッポロビール
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