コロナ禍を経て、人々の価値観や行動様式が変化する中、大きな変化を迫られたエンタメ&メディア業界。本特集では、XR・メタバース・NFT・5G・AI・ビッグデータなどの先端デジタル技術を駆使し、企業変革や事業創出に取り組むキーパーソンへのインタビューにより、エンタメ&メディアの未来を展望します。
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組織再編で目指す「J:COM体験」の最適化
日本最大のケーブルテレビ局(CATV)統括運営会社であるJCOM株式会社(ブランド名はJ:COM)。同社はケーブルテレビ、高速インターネット接続、固定電話の3事業を中核にモバイル、電力やガスなどのエネルギー、ホームIoTサービスや保険、さらにはオンライン診療といったヘルスケア分野まで事業領域を広げている。
同社では今年4月に組織改編を行い、データ活用とイノベーションの連携をより一層強化すべく「イノベーション推進本部」と「データ戦略本部」を統合させ、「ビジネスデザイン本部」を新設した。
そのビジネスデザイン本部の本部長を務めるのが、執行役員の柚木輝久氏である。同氏は2本部統合の狙いをこう語る。
「もともと私が担当していたのはデータ戦略本部のほうで、データを利活用したDXやCXの推進、マネタイズなどがミッションでした。一方で新たなビジネス領域として、たとえばヘルスケアや金融といった新しいサービスを生み出してきたのがイノベーション推進本部です。統合で新サービスの開発とデータ関連の部署が一緒になったわけですが、その意義は2つあると思っています。
1つは、たとえばケーブルテレビの視聴データをはじめ、電力サービスほか、さまざまなデータを活用してサービスの付加価値をより底上げしていくこと。
もう1つが、お客さまに当社のサービスにご加入いただいた後、たとえばデータから見て利用頻度の低いお客さまにお声がけして利用を促進していただく。あるいは、サービスの使い方に偏りがあるお客さまには別の使い方も推奨する。そうしてお客さまごとに最適化されたきめ細かいサポートを提供し、“J:COM体験”の向上を図っていくわけです」(柚木氏)