私たちの日常生活にすでに深く浸透している「ゲーミフィケーション」という手法。認知度はまだ低いが市場は世界的に年々拡大し、企業の関心も高まっている。2019年の設立以来、大手企業から中小企業、自治体まで400社以上のゲーミフィケーション活用を支援してきたセガ エックスディー(SEGA XD)CEOの谷英高氏に、ゲーミフィケーションの可能性と今後の展望を聞いた。
セガの魂を宿すBtoB事業会社とは?
──セガ エックスディーは2020年に誕生したとのことですが、どのような経緯で誕生したのでしょうか?
谷英高氏(以下敬称略) セガと電通のジョイントベンチャーとして誕生しました。私たちは「世界を良くする衝動を作ろう」というスローガンを掲げ、エンタテインメントの力で社会課題の解決に取り組んでいます。親会社のセガがエンタテインメントをお客さまに直接提供するのに対し、私たちはそのノウハウを社会に実装していく、という点で異なります。
具体的には、「ゲーミフィケーション」をコアメソッドとして事業を展開しています。ゲーミフィケーションとは、ゲームの持つ“人を動かし、夢中にさせる力”を、非ゲーム分野に応用する手法です。
──この新規事業を立ち上げるきっかけは何だったのでしょうか?
谷 私自身は新卒でセガに入社し、最初の数年間はモバイルゲームの開発に携わりました。その後、2009年頃からスマートフォンが普及し始め、2012年にスマートフォン向けのゲーム開発を行う会社が立ち上がり、管理職としての経験も積むことができました。
そこでの新規事業部での活動から生まれたアイデアを基に、2016年に会社を設立することになり、当初は「クロシードデジタル」という社名で、ゲーミフィケーションの他にゲーム攻略やゲームの紹介をするメディアの事業も手掛けていましたが、2019年に電通から出資を受け、現在のセガ エックスディーとなりました。セガグループの中でもBtoB領域という非常に珍しい存在でもあり、また合弁会社という形態も珍しい存在です。3年前からは新卒採用も始めており、組織を少しずつ拡大しています。
──1980年代後半から2000年代に若者だった人々にとっては、セガといえばやはりゲーム会社としてのイメージが強いと思いますが、若い世代の社員にセガのDNAは継承されているのでしょうか。