損保ジャパンは、社内副業制度「SOMPOクエスト」を2021年9月に導入した。これは所属する部署の業務を行いながら、他部署の業務に就業時間の2割を上限に携わることができる制度だ。社員が提案し、提案者と人事部とでチームを作って基本の制度を作り上げ、現在、その制度を70人以上が利用、刺激を受けたり、自分のキャリアビジョンを見つめるきっかけにしている。導入から4カ月たった今の状況を聞いた。
キャリアビジョンを明確にするために、違う部署の仕事をしてみる
社内副業制度「SOMPOクエスト」は、自分の所属部署の業務を行いながら、就業時間の2割まで他部署の業務に携わることができる制度だ。
「自分の強みを活かしてチャレンジしたい」「希望する部署の業務を経験してみたい」「キャリアビジョンを明確にしたい」といった社員の声を受けて実現した。
部門を問わず、全国の部署が業務単位で募集し、参加を希望する社員が自ら応募できる仕組みになっている。募集は、随時行われ、スタートして4カ月でこれまでに17部署で50件以上の募集があり、既に終了したプロジェクトも数件ある(2021年12月現在)。イベントなどの準備を進めるといった短いものは1~2週間、長いもので4カ月間という案件の募集が出ている。
参加までの流れを追ってみよう。
社内で「SOMPOクエスト専用のサイト」が用意されており、募集部署・募集案件の一覧が掲載されている。その一覧から興味があるもの、参加したいものがあった場合は、まず自分が所属する部署の所属長と相談する。
同意が得られたら、応募フォームから希望する理由や自己PRなどを書き込み、申し込む。それを見て受け入れ側が審査するが、審査基準は3点あり、「1.その人がやりたいことが明確になっているか。モチベーションがあるか」「2.その人のどういった専門性や経験を活かせるか」「3.ミスマッチがないか」
その人がやりたいことと募集意図がちゃんと合っているかが重要で、ここに行き違いがあると、せっかく業務をしてもらっても期待とは違うものになってしまう。
損保ジャパン 人事部企画グループの境崇充課長代理は「『これまでの経験を通常業務以外でも活かしたい』『自分の能力を発揮する場所を拡大したい』『今後のキャリアを考えた際にどういう部署があるか、どんなことを他部署がやっているのか知りたい』という声がありました。社員がもっと会社をよくするためにどうすればよいのかといった視点からこうした制度をつくったらどうかという提案があったんです」とスタートのきっかけを語る。
実はこの制度、2021年12月13日配信の記事「損保ジャパンがオリジナルのSDGsカードゲームを制作」で紹介した、役員に直接、企画を提案できる「アイデアらぼ」に提出されたアイデアだった。
社員からの提案を受け、社長から「よい提案だと思うので、やるべきか、どのようにやったらよいかを人事部と一緒になって考えることを、社内副業の第一弾としてやってみたらどうか」と言われてスタートした。