2000年にイケア・スウェーデンに入社。ポーランドのカントリーセールスマネジャーを経て、イケア・ポーランドの副社長などを歴任。その後、ベッドルーム部門のグローバルビジネスエリアマネジャーとして、商品展開に関わるビジネス戦略の立案、製品開発などの責任者として活躍。21年8月から現職。

 2020年に都心型店舗を出店し、オンライン、郊外の大型店舗それぞれのタッチポイントを生かしたオムニチャネル化を進める一方で、脱プラスチックやサーキュラービジネスへの転換など、サステナビリティの拡充に取り組むイケア・ジャパン。8月に代表取締役社長およびCSO(Chief Sustainability Officer)に着任したペトラ・ファーレ氏に、同社のサステナビリティとオムニチャネルの戦略、そして日本のサステナビリティの可能性について聞く。(インタビュー・構成/会田晶子)

「サステナビリティ」を全ての業務に組み込み、ビジネスと両立させるために

――企業にとってサステナビリティは、同時にビジネスを成長させるものでなくてはなりません。イケアがこれを両立できている理由は何でしょうか。

ペトラ 意志の固さと決意です。例えば「手ごろな価格」と「サステナビリティ」は、私たちの創業の精神に含まれていることであり、その両立は特別なことではありません。実現する手段としては「ニーズを見つけて、これを満たす解決策を探す」ということに尽きると思っています。

――解決策を探すために、AIなど新たなテクノロジーの活用も欠かせませんね。

ペトラ それは、もちろんです。スウェーデンには「1+1=3」という言葉がありますが、テクノロジーと人間の意志を組み合わせることによって発揮される超能力が、まさにこれです。例えば、私たちはAIの力を借りて、食品ロスを最小限にしました。日常業務の中にテクノロジーを取り入れ、同僚の意識を向上させることによって、スピーディにこれを達成することができたのです。

――ペトラさんはCEOとCSO(Chief Sustainability Officer)を兼務されています。その役割はどのようなものですか。

ペトラ 私たちは2030年に向けたサステナビリティ戦略として「People & Planet Positive」、環境と社会への配慮を掲げています。私がCSOの任に就くことは、この戦略を私たちがどれだけ真剣に捉えているかを表わしています。誰かに一任するのではなく、サステナビリティは全ての従業員の日常業務に組み込むべき重点となる業務(Key Job)だと考えています。

 私たちはビジョンとともに8つの主要な価値観(Key Value)を持っていますが、全ての従業員はこれを理解し、同じ信念を持ってこれを体現してくれていると思っています。