損保ジャパンは、現場発で、社員のエンゲージメントを高めるプロジェクトをスタートさせる。自社開発したSDGsカードゲームはSDGsについて学ぶことができ、地球人として自分たちのすべきことに目を向けるだけでなく、今まであまり認識していなかった自社の取り組みを知るきっかけにもなる。すなわち、損保ジャパンの社員であるという誇りにつながるものなのだ。

自社の取り組みを知らないのは、もったいない

 広島で地域限定社員として働いている岡本かなえさんは入社8年目。入社以来、営業部門で自動車ディーラーを担当していた。その担当先で「地域貢献やSDGsに関わるような取り組みを推進したいと思っている」という話を聞いたのが始まりだった。

「何かお手伝いできることはないかと考えました。恥ずかしながら、それまで全く関心がなかったんですが、初めてSDGsを勉強しました。そこで当社の取り組みについて調べてみたら、当社が社外からSDGsに関して高い評価を頂いていることを初めて知ったんです。社員が知らないのはもったいないなと思いました。一方で、担当先ではセミナーを開催したらどうだろうと思いました。とはいえ、関心のない人にも楽しんで学んでもらえるものはないかと考えていたところ、カードゲームで学べるものがあるらしいと聞いて、外部のファシリテイターの方に来ていただき、実施しました。それがとても好評だったんです。そこで、カードゲームを使って会社として何かできないかと考えました」(岡本さん)

 最初は勤務地である広島自動車営業部内で作ろうと考えたが、なかなかうまくいかない。そこで研修ツールなどを作る外部企業の力を借りて共同開発し、全社的に取り組めたらと考えていた時、社内で年に数回行われている「アイデアらぼ」という「役員提案制度」の募集があった。

 これは書類選考、関連部署へのオンラインプレゼン、役員へのオンラインプレゼンを経て、採用か否かが決まり、決まったら予算がついて具現化できるというもの。1度目は書類選考で落とされたが、ブラッシュアップして2度目のエントリーで選ばれた。2020年度、約200件のエントリーがあり、採用されたのは3件。そのうちの一つになったのだ。

 作るにあたりこだわったのは、「楽しめるのは分かっていたので、参加者にいかに刺さるかでした。そのために参加者の声をたくさん聞きました」と岡本さん。

「このゲームを作る一番の目的は、SDGsの理解もそうなんですが、当社の取り組みを社員にもっと知ってもらうことでした。ですから、カードの中にその要素を盛り込みたかったのでオリジナルにこだわりました。そして、これを使って営業社員がステイクホルダーとのパートナーシップを築くのに活用してほしいと思いました」(岡本さん)