関心がなくても楽しく学んで腑に落ちるカードゲーム
このゲーム、「The Action! ~SDGsカードゲーム~」について説明しよう。参加できる人数は5人から66人で、全員が一つの地域で暮らしているという設定。その中でチームを作るが、チームにはそれぞれ「お金」「時間」「プロジェクト」のカードが配られる。
ゲームでは、まずファシリテイターがSDGsの概要と、ゲームのルールの説明をする。最初にすることはチームごとに2030年までのゴールを決めること。経済的満足を得たいか、時間的に充足したいか、社会課題を取り除きたいかの3つの中から自分に一番近い価値観のものを1つ選ぶ。そして、そのゴールを達成するために、お金と時間を使ってプロジェクト活動を行っていくが、その都度、地域の状況の変化を確認していく。
このゲームは現実社会を模していて、現実社会と同じようにプレイヤー同士で交渉ができるし、相手と合意すればどんなやりとりも成立する。遂行するプロジェクトを他のチームと交換することも、時間をお金で買うこともできる。
ゲームをスタートさせると、最初のうち、参加者は自分のチームのゴールのことばかり考えているが、途中で地域の状況を見ることによって地域全体で取り組む必要性に気付く。そして、ゲームを通じて、SDGsが目指す世界への道のりを感じ、さまざまな視点からSDGsに関する取り組みを体験する中で理解が深まり、アクションにつなげようとの意識が芽生えていく。ゲーム1回の所要時間は2時間半から3時間。
このカードゲームがオリジナルなのは先述したが、損保ジャパンならではのものにするために自社のSDGsへの取り組みをカードに組み込んだ。例えば、プロジェクトカードの「風力発電向け保険の普及」では「自然災害のリスクが大きい風力発電に対し、安定的に補償できる保険を提供することで再生可能エネルギー普及を推進する」と書かれている。これは実際に商品として存在しているものだ。あるいは「体験型防災ワークショップ」というプロジェクトカードには、「市民の防災意識を高めるために、親子を対象に災害知識や安全な行動を学べる、体験型防災ワークショップを展開する」とある。
これら全て、損保ジャパンが既に実施している取り組みや商品、サービスを洗い出して整理し、時間をかけて選び出していった。作ったカードは25枚。
リリースにあたって先行してゲームを実施したところ、参加者はだんだん熱を帯び、立ち上がって交渉を始めたり、円になって議論したりするようになる。「社員が一つにまとまる格好のツールなんです」と、岡本さんは目を輝かせる。