(5) 間接部門の組織開発
生産拠点として進出した背景から、生産機能の直接オペレーションが最重要視されてきた。そのため、直接部門はナショナルスタッフに移譲は進んでいるが、間接部門の移譲が大きく遅れている実態がある。
さらに間接部門では、インプット・プロセス・アウトプットの一連が目に見えず電子データとして各自のパソコンで受け取り、作成・加工・修正・提出される。そのため、進捗管理は結果管理になる。成り行きに任せると納期遅れ、出来栄え不具合、当初のイメージと異なるアウトプット提出、などの問題が多発してしまう。
これらの流れが、やり直し、納期遅延、モチベーション低下などにつながっている。思考業務を可視化し、着手前の計画段階で懸念点をつぶし込む仕事のやり方を設計し、仕組みを意図通りに運用できる集団へと組織を開発していきたい。
繰り返しになるが、自立化した拠点へと駆け上がっていく経営の基盤には、唯一の解や飛び道具がある訳ではない。多面的な複数の施策が必要であり、自社の実態に合致した優先順位で基盤を構築し、ビジネス目標の達成と人・組織の成長を遂げていくことが期待される。
アウェーの地で奮闘される日系企業の駐在員と、外資である日系企業で同じく奮闘されるナショナルスタッフ、皆さんの活躍を願ってやまない。
コンサルタント 勝田博明 (かつた ひろあき)
日本能率協会コンサルティング(タイランド) http://www.jmac.co.th/jp/
代表取締役 シニア・コンサルタント
製紙会社を経て、2001年JMACに入社。主な専門領域は、日系企業の海外拠点(タイなど)における組織と人の知的生産性向上、組織風土の活性化、現地化促進、人事制度改革・運用支援、開発期間短縮など。 2010年よりJMAC(Thailand)Co., Ltd.代表取締役に就任。タイのみならずASEAN諸国、特にシンガポール、マレーシア、フィリピン、ベトナムなどでASEAN諸国進出・現地展開における生産性向上、仕組みづくり、風土醸成、実行習慣化などの支援を展開している。