タイはASEAN諸国の中でも早くから日系企業が進出し、裾野産業まで幅広く発展してきた。しかし、ここにきて在タイ日系企業は、人件費がタイの3分の2である一方でモノづくりの力を付けてきた日系ベトナム拠点の追い上げにあうなど、拠点存続の意義が問われている。
安価な労働力を追求する限り、タイ拠点の現状はいずれベトナム拠点でも起こり得ることは想像に難くない。前回のコラムでは、拠点設立からの年数と現地化や自立化といった成熟度の間に相関は見られず、会社の意思、本気度に左右されていると述べた。
今回はシリーズ締めくくりの第3回として、会社の意思、本気度を具現化する手立てとしての基盤構築について考えていきたい。
最初に結論から述べてしまうと、この第4ステージへ駆け上がっていく拠点経営の基盤には、唯一の解や飛び道具がある訳ではない。
結局は多面的な複数の施策を打ち、仕組み化と意図通りの継続的な運用が必要条件となる。事業や製品の特性、組織体制、企業文化などは千差万別であり、それに応じて具体的な実施・浸透施策は異なるが、抽象化してみれば現地拠点に共通に必要な基盤が浮かび上がってくる。
ここでは、その中でも特に必須と考えられる5つの切り口について述べたい。