(1)駐在員、日本本社側の異文化適応力の醸成
データからも証明されている国民文化・価値観の違い(詳細はG.ホフステード著『多文化世界』をご参照いただきたい)について、違いの存在を受け入れ、違いをプラスにする拠点経営でありたい。
例えば、「不確実性を回避するか」という軸でみた場合、日本人は回避する傾向が極めて高く、タイ人は中庸(ASEAN他国も同様の傾向)であるとデータで証明されている。この点を無視すると「物事の段取りが大切」と考える日本人と、「準備はほどほどにまずはやってみよう」というタイ人の価値観が混在しながらの業務遂行になり、さまざまな局面でおかしなことが起こるであろうことは想像に難くない。
実際にこの手の問題は日常茶飯事であるわけだが、善しあしではなく価値観の違いが存在することを受け入れた制度や仕組みを構築し、マネジメントを行いたい。
違いを受け入れるとは、違いそのものに責任を押し付けない、ということでもある。「タイ人は○○だから」と事あるごとに口にする駐在員も一部にはいるが、違いのせいにしている限り、改革や改善は思うように進まない。
また、アウェーの環境で奮闘している駐在員に対して、日本の本社・マザー拠点は本質的な目標達成を考え、管理ではなく、支援を行うことが求められる。一時期言われた“OKY(おまえ、ここに来て、やってみろ)”は、今でも根深く存在している。