「有事の金」から「平時の金」へ

「有事の金」という言葉をご存知でしょうか。地政学リスクの緊張が高まると、“万が一”が起きた場合の“最後の拠り所”として金に資金が集まり、価格が上昇する現象を表しています。

 最近では、この言葉通りに価格が動かない例が出てきています。グローバルな情報が瞬時に行き渡る現在では、投資のプロは緊張が高まる前に金保有を増やし、有事発生時にはすでに売却しているからです。個人の投資行動はどうしてもプロから遅れがちで、そのために収益機会を逸することがよくあります。

 前述の豊島氏は「金はバイ&フォーゲット(買って忘れること)。有事ではなく、平時に買うものなのです」と述べています。

 長期投資の中心はあくまで投信による株式投資です。ただ、分散投資の一環として、金には資産を守る役割を担わせましょう。経済環境や金融市場の見通しがよくわからないと感じている方は、金を投資対象にした投信やETFで資産を守ることを考えてもよいでしょう。金の専門家やFPなどは、金への投資金額は資産全体の10%が目安と説明しています。