投資対象としての金の特徴は以下の3つにまとめることができます。

(1)金利がつかない
金そのものに金利や利息が生じることはありません。
(2)信用リスクがない
金には株式や債券のように発行体が存在しないので信用リスクはありません。
(3)為替動向の影響を受ける
金は米ドル建てで取引される国際金融商品です。前述のように米ドルの代替ニーズがあるので為替動向、とくに米ドルの影響を受けます。国際金価格はこれまで、米ドルと逆に動くのが一般的でしたが、最近はそうとは限らなくなっています。

 金は米ドルの代替資産として投資されることが多いので、価格動向は米国の金融政策に大きく左右されます。利上げ政策が進む場合は、債券や預金などの魅力が高まる半面、金の投資妙味は落ちることになります。利下げ局面ではこの逆の傾向になります。

上値と下値のメドがわかれば難しくない

 金価格は需給や地政学リスクなどの影響を受けることから、値動きの仕組みが難しいと思われがちです。一方で、リスク要因が限定されるので株式よりシンプルだという見方もあります。元WGC日韓地域代表でマーケットアナリストの豊島逸夫氏は「金価格には底値と上値のメドがある」といいます。

 豊島氏によると、下値メドは1200ドル。この価格は高コスト体質の金鉱山会社の生産コスト並みとされており、1200ドルを割ると世界の金鉱山の2割が閉山するという調査結果も。また、この価格あたりになると金の2大需要国である中国とインドが購入に動く傾向があり、これ以上は価格が下がりにくくなります。

 上値メドは1500ドルです。この価格を超えると、リサイクルの金の供給が増え始めます。リサイクルの金とは、パソコン、携帯電話、デジカメ、ゲーム機などの精密工業製品で使われている金のことで“都市鉱山”と呼ばれるもの。価格が上がると金の回収量が増え、1500ドルを境に価格が頭打ちになる傾向があります。

 もちろん、この動きと価格感はこれまでの傾向であって、今後もずっと続くという保証はありません。しかし、この傾向を覚えておくだけでも「金投資は難しい」というイメージを払拭できるのではないでしょうか。