具体的には、前述の税制優遇4制度を中心に、投資する金額の半分を日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)に連動する日本株式インデックス投信に、残り半分を世界株式のインデックス投信に振り分けるのが基本と考えましょう。

 税制優遇4制度は運用益に課税されません。リスクの小さい投資は運用益が大きくなる可能性が低いので、この特徴があまり生きません。「元本が減る可能性も十分考えられるが、比較的大きな運用益が期待できる」という多少リスクの大きい投資で利用する方が向いています。元本が減っても気にならない程度の金額で、国内外の株式を投資対象にしたインデックス投信に毎月積み立てる形で投資することを考えましょう。

想定できない「万が一」だから流動性も考慮したい

 最後に、いつでも自由に現金化できる「流動性」も考慮したいところです。税制優遇4制度でいえば「一般NISA」と「つみたてNISA」です。

 最近、父を亡くしたのですが、事前に相談して簡略な家族葬を準備していました。ところが喪主である母が「きちんとした葬儀を出したい」と急に言い出し、想定以上にお金がかかってしまったことがあります。

 そのようなときに、引き出し時期が限定されていたり、現金化に時間がかかったりする金融商品(流動性の低い金融商品)だけでは不都合です。ETF(上場投資信託)や個別株式なども考えておきたいところです。

 老後の資金づくりは将来のライフイベントとコストを想定して運用しますが、それが変更になることは悪いことでは決してありません。「やっぱりやりたい」「もう少しお金を費やしたい」ということは、これからたくさん出てくるでしょう。それも人生ですね。万が一の準備は金額の大小だけでなく、流動性も加味しておいて損はないと思います。