米海軍・海兵隊

 米海軍および海兵隊は、敵のA2/AD戦略に対抗し、これを撃退して海上優勢を確保しようとする作戦を行う。

 その作戦は、海軍による「分散海上作戦(DMO)」、海兵隊による「遠征前進基地作戦(EABO)、そして海軍と海兵隊が協同して行う「紛争環境下における沿海域作戦(LOCE)」に代表される。

 海軍は、空軍とともに「エアシー・バトル(ASB)」構想の中心的役割を果たし、長距離精密攻撃や水中戦によって中国の海・空戦力やC4ISR、継戦基盤などを撃破して防衛作戦の目的を達成する。

 海兵隊のEABOは、基本的に海軍のDMOをサポートする構想である。

 EAOBの任務・役割は、重要海域の拒否・支配や陸上作戦、防空・ミサイル防衛(AMD)、(敵艦艇)打撃作戦、対潜水艦戦などを行うことである。

 その行動は、小規模の海兵隊部隊が隠密裡に敵射程内にある作戦上重要な島嶼等に中型揚陸艦(LSM)や垂直離発着機オスプレーなどを使って機動展開し、敵の海洋アセットを目標に対艦ミサイルや対空ミサイル等の火力を発揮して制海(SC)および海洋拒否(SD)の獲得維持に寄与する。

 そして、当該地での任務の完遂に伴って別の場所への迅速な機動を繰り返し、周辺海域へのアクセスが陸上の敵から拒否されるリスクを相手に課すというコンセプトで実施される。

 今般のバリカタンでは、戦術輸送機「C-130」とエアクッション揚陸艇(LCAC)を介したパラワン島へ高機動砲ロケットシステム(HIMARS)を迅速に配備する急速浸透訓練が行われる。

 また、演習の前半では、2隻の水陸両用艦や「LCAC」、「CH-53E」重量物輸送ヘリコプター、新型水陸両用戦闘車両が参加し、南シナ海に面したパラワン島の西海岸で水陸両用強襲訓練が行われる。

 後半段階でルソン島北部での対上陸訓練が行われる予定である。