伸びやかに加速していく感覚が実に楽しい

 ボディ寸法は全長4715mm×全幅1940mm×全高1625mm、ホイールベースは3000mm。

 駆動方式は、RWD(リア駆動)をベースとして、後輪モーターが最高出力303kW、またフロントモーター(175kW)を持つ四輪駆動車だ。

フロントモーターや制御システム(写真:筆者撮影)

 バッテリーは、セルがパウチ式のリチウムイオン電池で、電池パックの電気容量は84kWh。

 筆者はこれまでベースモデルの「IONIQ 5」を様々な走行環境で体験しているため、今回のようにチューニングされた仕様車の「走りの傾向」はある程度は予測できていた。だが、実際に走り始めると、出力値に相当する加速の速さはあるものの、ドライバーがクルマを制御することが難しいと感じる暴れるような加速はなく、かなりのスピードを出しても安心感が高いことに驚いた。

ガソリン車のハイパフォーマンス系モデルでも用いられることが多いタイヤ、イタリアのピレリ社Pzeroを装着し、ブレーキシステムも強化(写真:筆者撮影)

 コーナーの各セクションで見ると、コーナー進入時のブレーキングで強い回生力によってクルマ全体の姿勢が安定した後、旋回中もドライバーがイメージした軌道をトレースできる。実に扱いやすいハイパフォーマンスカーだと感じる。

 さらに、コーナーリングの後半、思い切ってアクセルを多めに踏むと若干のリアスライドをしながら前へ前へと、伸びやかに加速していく感覚が実に楽しい。

 他のハイパフォーマンス系のEVといえば、例えばポルシェ「タイカン」やその兄弟車であるアウディ「e-tron GT」がある。だが、これらは背の低いスポーティクーペであり、車高が高くセダンのような形状のIONIQ 5とは基本的な走りのイメージが違う。

 また、IONIQ 5 NのベースモデルのIONIQ 5の商品性は、都会的でおしゃれなライフスタイルをイメージしたファッショナブルなEVだ。それを、こうしてEVチューニングモデルにと仕立てるという、ヒョンデ「N」ブランドの発想が実に面白い。