(4)日本政府によるサポート

 こうした中国日本商会の機能強化が中国政府との新たなコミュニケーションルートを確保する上で有効に機能し始めていることに中国現地の日本大使館・総領事館も注目している。

 大使館・総領事館と各地の日本企業の商会組織との連携は以前から存在していたが、今後これが一層深まっていく方向にあると考えられる。

 つい先週も金杉憲治・在中国日本国大使が天津市を訪問した際に、天津市の陳敏尓書記との会談や天津市主催の夕食会に日本商会幹部が同席した。

 このように大使が中国の地方政府幹部と面談する際に中国日本商会幹部が同行することにより、現地政府と日本企業の対話促進を図っている。

 以上のように中国日本商会は組織改革後1年という短期間に、中国各地の日本企業、中国の中央・地方政府、日本の経済界、日本政府のそれぞれとの連携を強化し、重要なハブ機能を担うようになった。

 この意義は非常に大きい。

 こうした大きな成果を生んだ組織改革の裏には、商社が従来輪番で享受していた既得権益を放棄した貢献があった。

 日本企業の投資環境改善という全体の利益のために個社の利益を放棄することは実際には非常に難しいことであるが、それを断行したリーダーがいた。

 そしてそれを周囲から支えた人々もいた。これらは利他の精神がなければできない。井戸を掘った人々の陰徳である。

 その精神は現在の中国日本商会の幹部にも引き継がれ、新会長のリーダーシップの下、個社の利益を超えて、日中両国経済の発展のために素晴らしい貢献が継続されている。

 今後、中国各地の日本企業、中国の中央・地方政府、日本の経済界、そして日本政府との連携が一層強化され、中国日本商会のハブ機能が投資環境のさらなる改善と日中両国の経済発展に大きく寄与することを心から願っている。