2022年11月14日、習近平国家主席はバリ島で開催されたG20首脳会議に出席、米国のジョー・バイデン大統領と首脳会談を行った(写真:ロイター/アフロ)

1.中国の対米外交姿勢と国内経済情勢との相関関係:比較の前提

 中国の外交姿勢と国内経済情勢の間の相関関係については2説ある。

 一つは、国内経済が良くない時は、国民の内政に対する不満をそらせるために対外的な強硬姿勢を強めるという見方である。

 もう一つは、国内経済が良くない時は、逆に経済にマイナスの影響を及ぼすリスクを避けるため、対外的に融和的な姿勢を示すという見方である。

 この点について確認するために、国内経済の景況感を示す代表的な指標として購買担当者景気指数(PMI)製造業の推移のグラフを描いた(図表参照)。

 同指数には製造業と非製造業の分類があるが、景況感を反映しやすい指標を選ぶ観点から、民間企業比率が高い製造業PMIを選んだ。

購買担当者景気指数(PMI)製造業の推移

 PMI指数は企業の購買担当者に対して景況感に関するアンケートを実施して集計したもので、50を上回ると景気拡大の見方が多いことを示し、50を割ると景気減速の見方が多いことを示す。

 米中関係は1990年代から2010年頃までは基本的に良好であり、2001年には米国の後押しで中国はWTO(世界貿易機関)に加盟し、それが輸出主導による中国経済躍進の主因となった。

 しかし、2008年秋のリーマンショック後に、中国政府が実施した巨額の内需刺激策のおかげで世界経済が恐慌への突入を回避したことを機に、中国が自国の国力に対する自信を深め、国内のナショナリズムの高揚にも押されて、それ以前の対外的に控えめな姿勢から強硬姿勢へと転じた。

 一方、米国はWTO加盟を機に中国経済の自由化・市場経済化が順調に進展することを期待していたが、貿易、投資、金融面等での変化の速度は期待を下回るものだった。

 以上の要因を主な背景に、2010年代に入ると米中関係が悪化に向かった。