サッカーの歴史が長いイングランドではどう選手をスカウトしているのか。写真は3月に開かれたブラジルとの試合に臨むイングランド代表(写真:Gareth Evans/News Images via ZUMA Press Wire/共同通信イメージズ)

サッカーが好きな人でも、スカウトと呼ばれる仕事がどのような役割を果たすのか即答できる人はそう多くないだろう。今回紹介する『スカウト目線の現代サッカー事情 イングランドで見た「ダイヤの原石」の探し方』(光文社新書)の著者は、歴史的にサッカーが盛んなイングランドでスカウトとして活躍してきた田丸雄己氏だ。現在は日本に拠点を移してスカウトを続けており、イングランドでのスカウト事情を詳しく紹介している。

(東野望:フリーライター)

スカウトへの道は千差万別

 イングランドといえば、サッカー発祥の地(*諸説あり)とされ、サッカー先進国の一つに数えられる。

 そんなイングランドでは、スカウトになるための正規のルートは存在しないという。選手経験の有無も絶対に必要な要素ではない。田丸氏いわく、イングランドでも日本でも選手としての経験がスカウトとして採用される合否を分けたことはないという。

 サッカーチームがスカウトを公募することもあるが、求人数よりもスカウトになりたい人がはるかに多く、競争率は天文学的に高くなってしまう。また、職業訓練校や専門学校のような、就職を斡旋してくれるような機関もない。

 そのような状況で、給料をもらえるスカウトになるためのルートはさまざまだ。スクールコーチからスタートした人もいれば、インターンとして活動していたチームからオファーをもらった人もいる。なかにはサッカークラブの経営陣に直接プレゼンし、役職を獲得した大学生もいるという。

拡大するソーシャルメディアを通じた人材発掘と雇用

 近年のイングランドで最も多いのは、コーチ出身のスカウトだ。ほかに多いのは、ソーシャルメディアをきっかけにクラブの関係者に声をかけられたり、インターンをしていたクラブに採用されたりといったルートになる。

 特にソーシャルメディアを通じた人材発掘と採用は増えており、筆者の田丸氏もこのタイプに分類される。

彼らはテクノロジーを使用することに慣れており、積極的に新しい技術をスカウティングに導入する姿勢がある。こうした人材が引き抜かれている一つの理由としては、従来通りのスカウティングスタッフとは求められる能力が違うことが挙げられる。

 テクノロジーの進歩によって、スカウトに求められる能力にも変化が出てきているのだ。