ベルガモット、クラリセージの香りにも含まれる酢酸リナリル

 私たちはヒトに対しても同じ効果があるかどうかを調べました。27人の参加者を3グループに分け、ラベンダー、リナロール、酢酸リナリルの香りを、それぞれアロマディフューザーを使って嗅いでもらい、嗅ぐ前と後の唾液中のコルチゾールの量を測定しました。

 その結果、酢酸リナリルは唾液中のコルチゾール量を大きく減らし、香りの噴霧を止めたあと30分後もさらに減らしていることが分かりました(図1―5)。
 

 このような実験は、香りの効果をより詳しく研究するためにも、有効に活用していくためにも重要です。

 酢酸リナリルは、ラベンダー以外に、ベルガモット、クラリセージといった植物の香りにも含まれています。香りによってストレスを減らしたいけれど、ラベンダーの香りが苦手だという人は、酢酸リナリルが多く含まれたほかの香りを選ぶと良いかもしれません。逆に、ラベンダーと同じ香りの人工香料でも、酢酸リナリルが含まれていなければ、このような抗ストレス作用は期待できないことが考えられます。

「植物の香り」のサイエンス なぜ心と体が整うのか』(塩田 清二、竹ノ谷 文子 著、NHK出版新書)