無料塾「八王子つばめ塾」の教室の様子。ボランティア講師たちが子どもたちを支えている(写真:八王子つばめ塾提供)無料塾「八王子つばめ塾」の教室の様子。ボランティア講師が子どもたちを支えている(写真:八王子つばめ塾提供)
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 入試シーズンが終盤を迎えている。無事に進学先が決まった受験生は新生活に胸を高鳴らせ、その戦いを支えた保護者たちは、受験という「課金ゲーム」を終えたことにほっと一息ついているころではないだろうか。経済力の有無が大きな影響を及ぼす、今日の受験戦争。経済的困窮という格差に直面した子たちを支えているのが、無料塾「八王子つばめ塾」だ。
 ここを立ち上げた小宮位之氏(認定NPO法人「八王子つばめ塾」理事長)は、公教育に対する数々の問題意識があったという。自ら貧困生活に陥りながらも、無料塾を開いたのはなぜか。小宮氏の著書『「無料塾」という生き方 ― 教えているのは、希望。』(ソシム)より一部を抜粋・再編集し、お届けする。(JBpress)

無料塾を立ち上げ、無職に

 八王子つばめ塾を作って約半年後の2013年3月末で勤め先を退職。4月には長男の小学校入学式を、その数日後には次男の幼稚園入園式を控えています。その父は、再就職先はおろかアルバイト1つ決まらない完全な無職です。そして三男はまだ1歳半。その1週間後に、ようやく月収数万円のアルバイトが決まりましたが、とても生活費には足りません。どうしようもない状態です。妻は 「私も働けるから」と、早朝からパートに出てくれました。