NATOの加盟文書を持ってポーズをとるスウェーデンのクリステション首相(左)と米ブリンケン国務長官(右)(写真:Agencia EFE/アフロ)

米国主導の軍事同盟、北大西洋条約機構(NATO)にスウェーデンの加盟が決まりました。スウェーデンとしては、19世紀から掲げてきた中立・非同盟の外交方針の大転換です。昨年加盟した隣国フィンランドと同様、ウクライナに侵攻したロシアへの危機感を募らせたためです。では「NATO」とは、そもそもどんな組織なのでしょうか。歴史を振り返りながら、専門記者グループのフロントラインプレスがやさしく解説します。

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「欧州の緩衝地帯」という立場を捨てる

 スウェーデンがNATO加盟を申請したのは2022年5月、ロシアによるウクライナ侵攻から3カ月後のことです。フィンランドの申請と同時でした。

 バルト海を挟んでロシアと接する両国はおよそ200年もの間、どこの軍事同盟にも属さず、外交面では中立・非同盟の立場を貫いていました。その立場を変えさせたのは、ウクライナ戦争の勃発です。

 ロシアとの長い国境線を有するフィンランド、バルト海を挟んで接するスウェーデン。両国はNATOの非加盟国だったウクライナが攻撃される事態を目の当たりにして、自国の安全保障をより強固にしたいとの考えを強めました。そして「欧州の緩衝地帯」という立場を捨て、NATO加盟を選択したのです。

図:NATOの公式ウェブサイトなどからフロントラインプレス作成
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 ところが、両国の申請はすんなりと承認されませんでした。NATOに加盟するためには構成国すべての承認を必要とします。申請時点の構成国は30カ国。親ロシア派が政権を握るトルコとハンガリーの2カ国が北欧2国の加盟を渋ったのです。

 結局、フィンランドの加盟承認は1年後の2023年4月。スウェーデンの承認については、エネルギー供給を全面的にロシアに依存しているハンガリーが先送りを続けていましたが、今年2月26日に同国の国会がようやく承認しました。