政治資金問題などを説明する岸田首相(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)
  • 派閥の政治資金パーティーを巡る問題で、岸田首相は安倍派の4閣僚を交代させた。安倍派に属する主要な党役員も相次いで辞意を表明している。
  • 岸田政権がいつまで続くのか、先を見通すのは難しいが、足もとの混乱を乗り切れば、来年9月の総裁選まで延命する可能性も出てきた。
  • 「ポスト岸田」には、岸田派、麻生派、茂木派からなる主流派、二階派、森山派、菅グループや石破グループなどの非主流派、安倍派からなる反主流派がそれぞれ候補を出すことになる。その中でも可能性の高い一番手は誰か?

(宮前 耕也:SMBC日興証券 日本担当シニアエコノミスト)

 12月7日に寄稿した拙稿「メインシナリオは来春から夏の総辞職、危険水域に達した岸田政権の続投の道筋」では、来年に想定される3つの政治シナリオを提示した。だがその後、自民党の安倍派など主要派閥における政治資金パーティー収入を巡る問題が急速に深刻化している。

 岸田首相は14日に安倍派に属する閣僚と副大臣を交代させた。また、安倍派に属する主要な党役員が相次いで辞意を表明している。政局は年末に大きく変動しており、来年の政治シナリオについて再考せざるを得ない状況だ。

 従来、来年の春から夏に掛けての内閣総辞職をメインシナリオに考えていた。だが、政治資金問題により、岸田政権がいつまで続くか予想が難しくなっている。一方で、「ポスト岸田」に求められる条件はある程度絞られそうだ。

【安倍派の排除】
<閣僚交代、党役員辞任>

 11月14日に岸田首相は安倍派の4閣僚を交代させた。松野官房長官の後任には林前外相(岸田派)、西村経産相の後任には斎藤前法相(無派閥)、鈴木総務相の後任には松本前総務相(麻生派)、宮下農相の後任には坂本元地方創生相(森山派)を起用した。4名とも閣僚経験者で、うち3名は岸田内閣での経験者だ。

 また、安倍派の萩生田政調会長や高木国対委員長、世耕参院幹事長が相次いで辞表を提出した。2024年度当初予算が閣議決定されると目される22日までは任にとどまり、その後交代する模様だ。

 一時は、党役員や大臣のみならず、副大臣と政務官全ての安倍派メンバーを交代する案が取り沙汰された。結局、副大臣は交代となるも、政務官は留任で落ち着いた。

 ただ、13日の国会で立憲民主党の泉代表が「この危機的状況の中で裏金議員の一掃よりも、安倍派一掃を画策しているよう」と指摘したように、安倍派の排除と受け止められても仕方のない展開となった。安倍派は岸田首相に対する不満を強めているだろう。

<安倍派の帰趨が重要に>

 今後の政局を見る上で、安倍派の帰趨が注目される。これまで安倍派は岸田政権を支える立場であったが、反主流派とでも呼ぶべき立ち位置に転じそうだ。ただ、反主流派として安倍派が自民党内で影響力を持つか否かは不透明だ。

 安倍派が影響力を持つためには、会長などリーダーを据えてまとまる必要がある。今後の政治資金問題の展開次第となるが、いわゆる安倍派5人衆の中では、派閥の事務総長を経験していない衆院議員である萩生田氏が会長候補となる可能性がある。

 会長などリーダーを据えることができない状況では、派閥が分裂する危機に直面するか、もしくは分裂せずともまとまらず、総裁選で草刈り場となるかもしれない。