(英フィナンシャル・タイムズ電子版 2023年8月24日付)

加盟国拡大だけは意見の一致をみたが・・・

 世界の統治機構が作るグループに普通に見られる特徴をBRICS首脳会議が獲得している証拠を探しているなら、南アフリカで先日開催された会議で、声明文の策定と将来に向かう勢いがあるとの印象を維持するために展開されたおなじみの小競り合いを観察すればいい。

 おなじみの不愉快な用語を使わせてもらえるなら、「デリバラブル(具体的な成果)」に最も近いのは、加盟国数を現在の5カ国(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)から増やすことが原則的に決まったことだ。

 これでさえ、インドとブラジルは心中穏やかではない。

 この2カ国は、中国との協力関係が深い加盟国を新たに受け入れることに懸念を覚えている。

政策策定のフォーラムとしての弱点

 政策策定の場としてのBRICSの弱点は明白だ。このクラブは目的の統一が不十分で、決定を実行に移す能力もほとんどない。

 だが、非公式的なグループでまとまりを維持するのは難しいという話は、取り立てて新しいものではない。

 BRICSより歴史の古いライバル――数十年にわたって世界経済の運営委員会と見なされてきた主要7カ国(G7)――も、合意形成にはしばしば手間取っている。

 効果的に成果を出す国際機関は様々な機能を果たしている。専門的な知識や能力の宝庫であると同時に、ルールを策定・施行する手段でもある。

 適切に用いられるという条件付きではあるが、後者の項目は、集団の意思決定が各加盟国内での政策策定の議論に大きな影響を及ぼす可能性を意味している。

 出資者である国々の意向に制約されることは避けられないものの、正式な国際機関には明らかにこうした特性がある。