街ゆく人々の足を止めさせたマジッククエスチョン(写真:アフロ)

『人を「惹きつける」話し方』著者の佐藤政樹氏は、劇団四季で主役を務めた俳優であり、話し方、伝え方に関する「TEDx」の講演が40万回も再生される人気研修講師。もともと極度の人見知りと口下手で、就職活動は全滅、アルバイトとして就いた営業職では、お荷物赤字社員で、まさかの戦力外通告……。

 そんな佐藤氏だったが、チラシ配り、テレアポ、携帯電話販売、ツアーガイド、銀座のキャッチ、結婚式の司会業など、ありとあらゆるアルバイトを通して話し方の独自の手法を編み出すことに。劇団四季時代に創設者の浅利慶太さんから直接教わった「伝えることの本質」を掛け合わせた惹きつける話し方の「極意」とは。

(*)本稿は『人を「惹きつける」話し方』(佐藤政樹、プレジデント社)の一部を抜粋・再編集したものです。

◎第1回「劇団四季の元主役俳優が見た、トークで人を惹きつける人に共通するスキル
◎第2回「臨機応変に答えられない?日頃から頭を整理して書くことを習慣化すれば大丈夫

(佐藤 政樹、企業研修講師/講演家)

「話したくない人」の心を開く方法

 今回は、「相手の心の殻を破るカギ」をお伝えしていきます。

「お客さまになかなか心を開いてもらえない……」
「懐に入り込むにはどうしたらいいのだろう」
「すぐに顧客と仲良くなれる人はいったい何をしているのだろう」

 あなたはこのように考えたことはありませんか?

 相手がいわゆる話し好きや、コミュニケーションに長けた人であれば、「聞く力」と「オープンマインド」でも十分です。ただ、相手によっては、「口下手だからあまりしゃべりたくない」「人と話すのにあまり時間をかけたくない」という人もいます。

 このような一筋縄ではいかないシーンで必要なのが、相手の心の殻を破って距離をグッと近づける「話の切り込み方」です。

 ビジネスであれば、関係が浅いお客さまとの距離を縮めることは、結果を出すための最初の関門でもあります。多くの方が「どうやったらPRできるか?」「どうやったら売れるか?」を優先して話そうとしてしまいますが、ここでも「相手を喜ばせる」のが大事です。

 人から本当に嬉しいことをされたときに、心から不快になる人はほとんどいません。まだ関係がそこまでできあがっていなくても、これは同じです。

「どうやったら喜んでもらえるか」を考えて、それに沿った言葉をかけられるかどうか。これが、相手を惹きつけ、心を開いてもらえるかどうかのポイントです。

 ここで私がおすすめしているのが「相手を喜ばせる質問で切り込む」です。

 私が話の切り込み方を学んだのは、銀座のいわゆるキャッチの仕事からです。