フランス・パリで暴徒に逆さまにされた車両の横を歩く機動隊員(2023年7月2日、写真:ロイター/アフロ)

(数多 久遠:小説家・軍事評論家、元幹部自衛官)

フランスが燃えている

 6月27日、無免許で暴走車を運転していた少年を取り押さえようとした警官が、最終的にその少年を銃で撃った結果、少年が亡くなってしまいました。

 警官の行動に対する抗議と遺族への支援を目的とした運動は、当初は平和的なものだったようですが、次第にエスカレートし、現在の無目的な暴動に発展しています(暴動についての細部は、在日のフランス人の方がYouTubeで解説しているので、こちらをご覧下さい)。

 私がこの件に言及するのは、以前の記事「防衛費2%超で補うべき日本の『知られざる弱点』 ホームランド・ディフェンスのために日本にも『カラビニエリ』を」で指摘したように、こうした暴動が日本でも発生し易くなっているからです。

 上記の記事は、それに対応するための組織の必要性を述べていましたが、今回は対応するための法律、そうした組織に限らず、既存の警察や、治安出動を行う自衛隊に権限を与える法律が不足していることについて書きたいと思います。

騒乱の中、市役所が放火され、自宅も襲撃されたライレローズ市長のヴァンサン・ジャンブラン氏((2023年7月2日撮影、写真:ロイター/アフロ)