プリゴジンとプーチンの関係はどこで歯車が狂い始めたのか(写真は2010年9月、写真:代表撮影/AP/アフロ)

プーチン失脚なら最悪の事態になるぞ!

 ロシア版本能寺の変(ワグネルの武装蜂起)は失敗に終わった。

 織田信長(ウラジーミル・プーチン)を殺そうとした明智光秀(エフゲニー・プリゴジン)は、羽柴秀吉(アレクサンドル・ルカシェンコ)の説得で諦めた。

 九死に一生を得た信長は光秀を秀吉に預けた。そして秀吉は数日後・・・。

 こんな構図が描ける6月25日以降の激動のロシアだった。

 西側メディアは「プーチン政権に打撃」「ロシアに深い亀裂」「ウクライナ侵攻反対に追い風」と報じているが、実際のところロシアがどうなるのか、ウクライナ戦争がどうなるのかは予想できずにいる。

 蜂起直後、ドナルド・トランプ共和党大統領候補はSNSにこう投稿した。

「A big mess in Russia, but be careful what you wish for. Next it may be far worse! 」

(ロシアは大混乱だ。だが喜ぶのはまだ早い。注意しろ。もっと悪い事態が次にやってくるかもしれないからだ)

Trump on Russia-Wagner dispute: ‘Be careful what you wish for’ | The Hill

 従来からプーチン大統領とは馬が合い、ロシアのウクライナ侵攻直後はプーチン氏を絶賛したトランプ氏だ

 極秘情報を得ての発言とは思えない。

 だがプーチン政権が倒れ、プリゴジン氏がロシアを支配するようなことにでもなれば、ウクライナ戦争は一部の米エリートが望んでいるような停戦、終結などいったような好ましい事態にはならず、むしろ戦争拡大になるぞ、という警告だった。

 トランプ氏の「愛弟子」、マージョリー・テイラー・グリーン下院議員(共和、ジョージア州選出)は、トランプ氏の投稿前後、こうツイートしていた。

「After our government has been funding a proxy war with Russia in Ukraine for over a year, I sure hope our government isn’t behind a coup attempt currently happening in Russia」

「Regine change in a nuclear armed country may lead to terrible consequences in the American people don’t want」

(我が国の政府はこれまで1年間、ウクライナでのロシアとの代理戦争にカネを出してきたが、このクーデターの背後で動いていたんじゃないでしょうね。そう祈りたいものです)

(核保有国で政権が代われば、米国民が望んでいない、恐ろしい結果につながるかもしれない)

MTG Suggests U.S. Behind Wagner Uprising in Russia