侍ジャパン前監督の栗山英樹氏(写真:AP/アフロ)

 やはり難航している模様だ。野球日本代表・侍ジャパンの次期監督候補が各方面で乱立している。

 今年3月の第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で日本を3大会ぶりの世界一へ導いた栗山英樹監督は水面下で続投を強く求められていたが、任期満了で退任。侍ジャパンを統括するNPB(日本野球機構)およびNPBエンタープライズ側は新監督の選任を8月中に決める意向を示しているものの、事はそう簡単に進みそうもない。

「連覇」の重責

 候補者たちにとっては2026年の次大会WBCでも連覇が求められる侍ジャパン次期監督の重責が逆に大きな足かせとなっており、諸手を挙げて自ら火中の栗を拾いに行くような人材は現在までのところ誰もいないという。代表選手らとの人間関係や最も肝心な手腕も候補者の選定作業を行っていく上で慎重な判断材料となっていることから今も足踏みが続いているようだ。

 一部メディアからはシアトル・マリナーズで会長付特別補佐兼インストラクターの役職に就くイチロー氏と、そしてニューヨーク・ヤンキースでGM特別アドバイザーを務めている松井秀喜氏の名前も侍ジャパン次期監督候補として取り沙汰されている。だが、この両氏については「まずない」とみていい。

 まずイチロー氏はマリナーズの現職として多忙を極めており、仮に侍ジャパン監督のオファーを引き受けるとなれば20026年のWBCまで活動の拠点を米国シアトルから帰国して日本に移さなければならなくなる。マリナーズを退団するか、あるいは長期休職を申し入れて了承してもらうかの選択肢しかないだろう。