渡部陽一「1000枚の戦場」より

 世界は大きなうねりの中にある。

 まもなくウクライナ戦争の開戦から1年。現在も収束の兆しはなく、刻々と変化する戦況に世界中が揺り動かされている。

 昨夏には各国で深刻な干ばつや大水害が起こり、世界中が極端な異常気象に見舞われた。

 一方で、コロナ禍によるさまざまな制限が少しずつ緩和され、世界を行き来する自由も戻りつつある。

 戦場カメラマン・渡部は昨年、ウクライナを中心に世界を撮り続け、「1000枚の戦場」としてシンクロナスで発表してきた。

 戦場のリアルを見続けてきた渡部が語る、2023年の世界情勢を紹介する。TVなどでは報道されない、喫緊の“世界のうねり”――。

2023年も続く、ウクライナの苦しみ

 こんにちは、戦場カメラマンの渡部陽一です。

 今回は、世界を回るなかで僕が感じた、2023年に注目するべき国際情勢、ウォッチしていきたい国、それらの予想や展開をお伝えしたいと思います。

 まず、2022年は「ウクライナ戦争」によって、世界情勢が引きずり込まれ、悲しい時間を突きつけられてきました。2023年も、ウクライナ戦争が尾を引く、または悪化することも想定しています。

 こちらの美しい写真は、ウクライナの首都キーウにある「ウクライナ正教会」の教会です。

 こういった教会は街中にいくつも点在しており、たくさんのオペラ劇場や、伝統的な建築技法の街並みが広がり、それこそ世界中の人々が、その美しい建造物をひと目見ようと足を運ぶ芸術の都です。誇り、尊厳、美しさ、歴史など、さまざまな魅力あるウクライナですが、今は戦争の苦しみの真っ只中です。