ザ・カーペンターズ(1976年)写真/Shutterstock/アフロ 

(小林偉:放送作家・大学講師)

ポップでもバッド・エンディングな歌詞?

 リズムやメロディの気持ち良さ重視で、歌詞に関してはスルーしてしまいがちの、洋楽ヒット曲ですが、実はよく歌詞を聴いてみると、実は怖~い人が登場したり、怖~い状況を歌っていたりするものが少なくないんですよね。そこで今回は、そんな本当は怖~い歌詞を持つヒット曲をいくつか、ご紹介しようと思います。

 最初は“ディスコ世代”には懐かしいであろう、こちらの曲です。

●COPACABANA (At The Copa)/BARRY MANILOW 

 アメリカの大御所シンガーとして今も活躍しているバリー・マニロウの代表曲『コパカバーナ』。彼はこの曲でグラミー賞を受賞しています。    

 軽快な曲調で、日本でもすっかりお馴染み。高校野球ファンであれば、智弁和歌山高校の応援歌として記憶されている方もいらっしゃるでしょう。実はこちら、明るく軽快な曲調とは裏腹に、かなりスゴい歌詞なんです。   

 簡単に訳していきますと・・・「彼女はローラという名のショウガール。髪には黄色の羽根飾り。スターを目指し、深いカットのドレスで、メレンゲやチャチャを踊る。それを見つめるトニーはいつもバーの中。込み合ったフロアーを挟んで、彼らは夜8時から朝4時まで働いた。若い二人は互いを想い合い、それ以上何も望むものはない。コパ コパカバーナ、ハバナの北部で一番ホットな場所。コパでは音楽と情熱はいつでもファッションなのさ」・・・ここまでが1番。ローラとトニーという登場人物の紹介ですね。

 続いて2番で、リコという、もう一人の人物が登場し、話が一変・・・   

「彼の名前はリコ。ダイヤを身に着けている。席に案内されると、踊っているローラの姿に目を留め、踊り終わった彼女を呼び寄せた。でもリコはちょっとやりすぎた。(ローラに恋する)トニーはバーから飛び出すとリコにパンチを喰らわせた。イスは真っ二つ。血が流れ、そして一発の銃声が響く。誰が誰を撃ったのか?」・・・と、突然の修羅場というか、惨劇です!          

 そして3番では、いきなり時代が飛んでしまいます。        

「彼女はローラという名のショウガールだった。ショウをやっていたのは、30年も前のこと。今ではそこはディスコになり 彼女はもう必要ない。未だに昔着ていたドレスを身につけ、髪には色あせた羽根飾り。上品にイスへ腰かけ、空ろな目で酒を飲む。彼女は若さを失い、トニーを失い、そして心も失った。コパ コパカバーナ、ハバナの北部で一番ホットな場所。でも、コパで恋をしてはいけないよ」

 何とも超絶展開かつ、バッド・エンディングな内容の歌詞ではないですか?