韓国の相竜自動車(2014年2月14日、写真:ロイター/アフロ)

 韓国の自動車メーカー、双竜(サンヨン)自動車の売却が失敗に終わった。新興のEV(電気自動車)メーカーが買収資金を調達できなかった。

 双竜自動車問題は、雇用維持と産業競争力のバランスをどう取るのかを巡る、尹錫悦(ユン・ソギョル=1960年生)政権の最初のテストになる。

「やっぱり無理だったか…」

買収資金を払えず

 2022年3月28日、双竜自動車は、新興のEVメーカーであるエジソンモーターズに対して「売却契約の解除」を通告した。

 この3日前の25日は、エジソンモーターズが双竜自動車に買収代金の残額、約2700億ウォン(1円=11ウォン)を支払う期限だった。

 この日までに支払いがなく、双竜自動車は、再建手続きを進めているソウル回生裁判所と協議の上、契約解除を通告した。

 迷走を重ねた双竜自動車の再建はまた原点に戻ることになった。

 2021年10月末、ソウル回生裁判所は、エジソンモーターズを売却先の優先交渉権者に選定した。売却額は3000億ウォン強で、エジソンモーターズは300億ウォンの契約金は支払った。

 エジソンモーターズは、投資ファンドなどとコンソーシアムを組んで買収に乗り出す計画だった。

 ところが、エジソンモーターズによる再建案に不透明な点があり、投資ファンドなどが相次ぎ資金拠出の意向を撤回した。

 2020年の売上高を比較すると、エジソンモーターズは898億ウォン、双竜自動車は2兆9502億ウォンで、30倍も差がある。

「小が大を飲む」どころではない買収計画だった。

「2700億ウォンの資金が調達できないのなら、そもそも無理な買収劇だった」