パールハーバーを出航する米海軍のバージニア級攻撃原潜(出所:米海軍)

(北村 淳:軍事社会学者)

 バイデン政権はロシア軍によるウクライナ侵攻の危機が差し迫っているとして軍事的対抗準備態勢を固めている。

 そのようなバイデン政権ならびに米軍最高首脳部に対して、アメリカ海軍関係者などの反中派からは、アメリカ最大の軍事的脅威は中国であり、アメリカ国防戦略はインド太平洋戦域での優勢維持を最優先事項に据えていることを見失っているのではないか? あるいは、中国との対決をウクライナ問題によってはぐらかせてしまおうと試みているのではないのか? といった疑義の声が上がっている。

練度の低下を中国から揶揄される米海軍

 米中の軍事的対決(戦闘に至る以前の対峙を含めて)は海軍を中心とする海洋戦力において決せられることになる。ところが、本コラムでも繰り返し取り上げているように、アメリカ海軍では、戦力、士気、造艦能力、メンテナンス能力、いずれの分野においても弱体化が進んでいることはアメリカ国防当局自身も認めざるを得ない状況にある。

 中国との対決に舵を切ったトランプ政権は大海軍の再興を掲げたものの、その後のアメリカ海洋戦力の強化が順調に進んでいるとは言えない。たとえば2021年に就役した水上戦闘艦の数だけを比較してみても、アメリカ海軍がわずか3隻であるのに対して中国海軍は22隻と、圧倒的に中国側が優勢だ。