(朝比奈 一郎:青山社中筆頭代表・CEO)

 2022年がはじまって、間もなく1カ月が経ちます。政治行政の世界を見ると、岸田内閣の支持率は、昨年10月の発足当時から上昇したまま、引き続き堅調に推移しています。最近の歴史を紐解けば、発足からの3カ月間で支持率が上昇したパターンを示したのは小泉政権や安倍政権だけということです。オミクロン株の拡大が懸念材料ではありますが、コロナ対応さえ大きく間違わなければ、岸田政権も長期安定政権になる目があります。

 本格政権になる可能性を秘めた岸田政権にぜひ進めてもらいたいのが「地方創生」です。

「消滅可能性都市」で火が付いた地方創生の議論、現在はどうなった

 地方創生の議論が沸騰したのは、安倍政権時代の2014年に、民間の政策提言機関「日本創生会議」(増田寛也座長)が提起した「消滅可能性都市」の議論がきっかけです。

 議論の骨子は、2010年比で2040年までに多くの地方都市で20~39歳の出産可能性の高い若年女性人口が半分以下となり(そういう市町村を消滅可能性都市と定義)、結果、全国にある1700強の自治体の約半分(49.8%)が消滅してしまう可能性があるという衝撃的なものでした。

 この問題提起で、多くの日本人は「人口減少問題はもう尻に火がついた状態になっている」ということを強く認識するようになったのではないでしょうか。このときから地方創生は政府の最優先課題の一つになりました。

 さっそく、その年の12月に改造を行った安倍内閣は、石破茂氏を地方創生担当大臣に据え、担当部局を作り、本腰を入れて人口減少問題に取り組める態勢を整えました。

 あれからおよそ7年――。日本の地方創生はどこまで進んだのでしょうか。現在は野田聖子大臣が地方創生や少子化問題の担当大臣となりさまざまな施策の推進に当たっているところですが、正直に言えば、石破氏以降、歴代の地方創生担当大臣を言える人すら少ない状態で、これまでにどんな成果が上がっているのかよく見えない状態です。