台湾・新竹市のTSMC本社(写真:AP/アフロ)

 政府が海外半導体企業の国内誘致を促す法案について閣議決定を行った。政府が事業者を認定し、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)に設置する基金を通じて資金支援を行う。企業誘致に力点を置いた今回の施策については賛否両論があるが、国力が低下している日本の現状を考えると、将来的にも重要な意味を持つ施策である。(加谷 珪一:経済評論家)

競争力を失っている日本の半導体産業

 政府は以前から半導体受託生産(ファウンドリー)の世界最大手「台湾積体電路製造(TSMC)」に対し、日本での工場建設を働きかけてきた。TSMC側はなかなか首を縦に振らなかったが、工場の建設資金の約半額に相当する4000億円を日本政府が拠出するなど、多額の支援を行うという条件で合意が成立。同社は熊本県での新工場建設を発表した。

 今回の法案は、TSMCが建設する新工場を認定第1号にすることを前提に準備が進められている。TSMCをモデルケースに、今後、国内で半導体の確保できる体制の構築を急ぐ。

 一連の法改正には主に2つの狙いがあると考えられる。1つ目は国内半導体産業の支援である。