横浜市長選に勝利した山中竹春氏。菅首相にとっては痛い敗北である(写真:つのだよしお/アフロ)

横浜市長選の敗北で二階切りが始まるのか

 横浜市長選は、50万6000票を獲得した元横浜市立大学教授の山中竹春氏が小此木八郎・前国家公安委員長以下に大差を付けて勝利した。2位の小此木氏は山中氏の64%しか得票できなかった。

 自民は7月の東京都議選において、過去2番目に少ない議席数に終わった。公明とあわせても過半数を割り込んでいる。これを菅首相が敗北と認めるのであれば、菅政権は4月25日の衆院・参院の補選(トリプル選挙)以降、連敗を続けていることになる(静岡県知事選など他の地方選でも負けている)。

 同じ8月22日、日本政府は日曜夜にもかかわらず、自衛隊機のアフガン派遣の意思を固めたことをリークした。横浜市長選での劣勢が明確になった午後7時以降に意識的にリークしたことに対して、複数の日本駐在大使館は菅政権がいよいよ崖っぷちに立たされ、安倍首相の岩盤支持層である保守層や右派に秋波を送るためだと分析したようだ。実際、日本メディアは投票終了の午後8時と同時に出口調査で山中氏当確を発表した。

 日本にある諸外国の大使館がそれを意識した背景には、親中派および親韓派で知られる二階幹事長の存在がある。

 東京五輪前、二階幹事長は文在寅大統領が訪日をした場合には日韓首脳会談を行うのが良いと語る一方、東京五輪中には台湾駐日経済代表部(実質的な在日大使館に当たる)のトップと会談するなど、これまでの矜持を破り、保守派への接近を図っていると見られている。

 諸外国は、二階幹事長が従来とは異なる行動を取り始めた背景には、安倍前首相などが二階外しを始めたことがあると見ているのだ。コロナ禍が大変だと自民党は表向き騒ぐが、裏ではコロナ禍を無視して政局を開始したという見方である。