ビーガンにがっかりな商品とは

 環境問題に関心が高い人はできる限り環境破壊を食い止めたいという理由で、またアニマルライツを尊重する人たちは倫理的価値観から肉食を避ける。アニマルライツを尊重する人たちは、環境問題にも関心が高い場合が多く、その反対も然りだ。

 健康や美容を理由にビーガンを選ぶ人々は、植物性の食事の方がガンや心臓疾患のリスクを減少させる、ニキビができにくくなる、太りにくくなる、といった体の内側だけでなく、外側にもよい影響をもたらす効果を期待している。また、同時に原料がどこでどうつくられたのか、その安全性にもこだわっている。

 美容や健康を理由にビーガンになった人たちも、その後アニマルライツや環境問題と肉食の関連を知り、より一層ビーガニズムに確信を抱くようになることもある。

 企業側が、このような人々がビーガンを選択する背景を知っておくことは重要だろう。なぜなら、いくらその商品の原料が植物性であっても、包装がプラスチックを多用した環境に配慮のないものであったり、熱帯雨林の破壊の原因の一つとなっているパーム油を使用していたりすれば、ビーガンにとっては「ガッカリな商品」になってしまう可能性があるからだ。

 また、いくら動物が犠牲になっていないとしても、原料の生産や加工の工程で人権を無視した労働が課せられていたり、フェアトレードでないならば、それを問題視するビーガンもいるだろう。ビーガンの中には、単に動物性食品や製品を拒否するだけでなく、あらゆる搾取に対して可能な限り反対していこうとする人たちもいるからだ。

動物性タンパク質を使わないビーガンチーズ

 今後、日本でも確実にビーガンの市場は拡大していくだろう。外食産業や食品小売業などの分野で真に消費者のニーズに合う商品を生み出すためには、「なぜ人々はビーガニズムを選ぶのか」という根本的な考え方を理解する必要がある。