息子と自身を巡るスキャンダルが沸騰しているバイデン候補(写真:ロイター/アフロ)

 筆者が「米国を論評する『バカの壁』」を上梓した同じ日に、「バイデン息子スキャンダルの裏に『中国の仕掛け説』」という論考がJBpressで配信された。その内容は、米国での報道とほぼ一致するどころか、結構なコストをかけて調べないとわからないことまで取り上げている。すごいことだ。

 米国政治に関する論考を書く日本人は非常に多いが、そのほとんどが反トランプで、いわゆる「ヨコタテ(英字紙を日本語にしたもの)」も多いが、不思議なことにバイデン親子のスキャンダルに関する論考はほとんどど目にしなかった。これは米国のメディアが無視していることの影響だろう。

 ところが、その闇の大部分を日本人女性の中国ウォッチャー(福島香織氏)が突いたのである。筆者は彼女を全く知らないが、こうしたグローバルの視点が一段と強まることを希望して、著者の福島氏には申し訳ないとは思うものの、この分析がどれだけ正しく、また米国での事実を重ね合わせるとどうなるかについて書いてみたい。

在米華人がハンター事件流布の源だと信じられる理由

 彼女の話の情報ソースの多くは、在米華人(ここでは華僑と呼ぶ)、中でもYoutuberの「路徳社」だと思われる。ここは米国ではLude Mediaという名前で中国語による情報発信を行っている。このYoutuberの情報を見ると、「仮説を立てた上で、事実を丹念に確認しつつ問題の重要性を指摘している」ことがわかる。そこからは、彼(Youtuberの「路徳社」)が米国政治についてかなり勉強した後がうかがわれる。

 この話の発端は、ハンター・バイデン氏(バイデン候補の次男)が、壊れたパソコンを修理業者に持ち込んだにもかかわらず、それを取りに来なかったことから始まる。ここでは、彼女の話には入っていない時間軸を付けて振り返ってみよう。