たけしは各局にそれぞれレギュラー番組をもっている。しかしたけしは介添えがいないと番組に出られない。「情報7daysニュースキャスター」では安住紳一郎、「たけしのニッポンのミカタ!」の国分太一、「ビートたけしのTVタックル」の阿川佐和子。そのあたりが所ジョージやタモリやさんまと違うところだ。「情報7days」でコロナ以前に「刮目ニュース」をやっているころはまだよかった。滑舌がわるく、なにをしゃべっているかわからなかったが、それなりの企まざるおもしろみがあった。それが、おもしろいことをいおうとすると失敗するのだ。

 8月22日の「情報7days」で、福岡の女子小学生記者が藤井聡太2冠に、走るのが速いらしいがどれくらい速いのですか? とインタビューした映像が流れた。ところがこれを見たたけしが「どんな女が好きか、とか、もう女は知ってるのか、とか聞けばいいのに。だめかな」というようなことをいったのである。わたしは、あほか、と思った。自分ではおもしろいことをいったつもりだったのか? 安住は流したが、自分でなにをいったかの判断がつかなくなっているたけしは、ほとんど老害であった。

 もともと「お笑い」芸人だからおもしろい、というのが錯覚だったのである。そんなばかなこと、あるはずがないのだ。また、いつまでもおもしろいなんてこともない。いまも昔も、ごく一部のすぐれた芸人のある時期しかおもしろくないのである。