日本を代表する災害研究拠点であり、シンポジウムの会場となった東北大学災害科学国際研究所。

 2011年3月の東北地方太平洋沖地震の発生から8年がたち、多くの人たちの努力によって復興が進んできている。

 だが、2016年4月の熊本地震、2018年6月の大阪府北部地震、2018年9月の北海道胆振東部地震など、大きな地震は後を絶たない。さらに、地震災害以外にも、集中豪雨による水害や土砂災害、また大雪による災害なども発生しており、日本で生活を続ける以上、災害への備えは欠かすことはできない。

 そのような災害への対策を考える上で、被災した人の体験や当時の状況の記録は重要な役割を持つ。そして、その記録に多くの人が触れられるよう、デジタルアーカイブとして公開する試みも進んでいる。これら災害の記録は、災害への備えや教育にどのように生かされるべきだろうか。

 2019年1月に東北大学災害科学国際研究所で開催されたイベント、「東日本大震災アーカイブシンポジウム 震災の記録を伝える〜自然災害と防災教育」から考えてみたい。

災害デジタルアーカイブの取り組みの現状

 災害デジタルアーカイブは、災害当時の写真、映像、資料、報道、人々の証言などの記録を保存し、インターネット上で閲覧可能にすることで、被災地の復旧や復興事業、今後の防災・減災対策、また学術研究などに役立つことが期待されている。

 シンポジウムでは、まず災害デジタルアーカイブの構築・活用のさまざまな取り組みが紹介された。