ガスプロムは当然のことながら、中国に輸出する場合は欧州向けと同じ価格帯を要求してきましたが、中国側はこの価格水準は高すぎるとして交渉難航。

 しかし今回は露中首脳同士で「可及的速やかに契約調印すること」で合意したので、双方は早晩妥協案を見出すことでしょう。

 “シベリアの力③”はサハリンからハバロフスク経由ウラジオストク向け既存SKV天然ガスP/Lのダルニエ・レチェンスクから中国向け支線P/Lを建設して、中国に天然ガスを供給する構想です。

 中国側はこの支線P/Lの早期建設を望んでいます。

エピローグ
プーチン大統領への贈り物

 ロシアでは、プーチン大統領の支持率が急落しています。2014年3月18日のクリミア併合後支持率は8割以上に上昇しましたが、2018年6月14日以降、支持率は6割前後に急降下。

 これは年金改革案発表に起因します。露では同年6月14日にワールドカップが開幕しましたが、この日、年金改革法案がひっそりと発表されました。

 6月法案は男性60歳、女性55歳の現行年金支給開始時期を男性65歳に、女性は63歳に段階的に引き上げる案でしたが、国民の大反対に遭い、現在では男性65歳、女性60歳支給案が議会で審議されています。

 露国民の平均寿命は男性66歳、女性77歳ですから、特に男性は年金支給開始と同時に貰えなくなってしまう可能性もあります。

 社会保障費を補填するには、国家予算歳入を増やすことが一つの解決策になります。

 歳入案の約4割を石油・天然ガス税収が占める経済構造にとり、今回の油価急騰はまさに米トランプ大統領から露プーチン大統領への贈り物かもしれませんね。